昨年11月1日から休園していた「西武園ゆうえんち」(埼玉県所沢市)が19日、リニューアルオープンする。70周年記念事業として改装された施設は、「新しいのに懐かしい非日常のエンターテインメント体験」がテーマ。3年前から家族連れや独身女性を主要ターゲットとしてプロジェクトを始動させ、総事業費約100億円をかけて園内の内容を一新させた。そこは、日本が元気で熱気がほとばしっていた1960年代の昭和時代の、「心あたたまる幸福感に包まれる世界」へと様変わりする。

そこはリアル「ALWAYS 三丁目の夕日」。レトロな新聞販売店、雑貨店、たばこ店、八百屋、電気屋、米屋、レコード店、喫茶店、銭湯などなど、30店舗が立ち並ぶ「夕日の丘商店街」の中で、ライブ・パフォーマンスが繰り広げられる。予想もつかない場所で、いきなり警官と泥棒の追いかけっこ、野菜のたたき売り、紙芝居などが始まる。

12機種のアトラクションの中では、世界初の大型乗り物として「ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦」が新登場する。特撮映画の人気怪獣、ゴジラがアトラクションになるのは世界初だ。宿敵キングギドラらとの激闘にも突然、巻き込まれる。また、家族で楽しめる「レッツゴー!レオランド」では、手塚治虫氏の人気作品「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」のキャラクターが登場する。

同園は1950年(昭25)開業。88年度には年間約190万人もの来場者があったが、施設の老朽化やレジャーの多様化などとともに徐々に減少していった。コロナ禍の19年度を除いて近年は約50万人にとどまっていた。

70周年を迎えるにあたって、モデルチェンジの方法を模索していたなかで、レトロをキーワードにした。デジタル化された現代社会は、心休まる時間が少なく人間関係も希薄になっている。だからこそ、60年代にあった人情味あふれる心の触れ合いや、温かい幸福感を重視した。コロナ禍でその重要性は一層高まっているとみている。オープン後のコロナ対策として、感染状況をみながら入場制限などの対策もしていくという。