将棋の藤井聡太王位(棋聖=19)が史上最年少3冠となった。13日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第6期叡王戦5番勝負第5局で豊島将之叡王(竜王=31)を下した。この結果、対戦成績を3勝2敗として叡王を初めて獲得。今年防衛した棋聖、王位と合わせ、叡王奪取で3冠達成となった。19歳2カ月弱での達成は、1993年(平5)1月に羽生善治現九段(50)が達成した22歳3カ月を大幅に更新する快挙でもある。

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藤井3冠が8大タイトル全制覇を最短で果たせるとすれば、23年の名人戦。それには3段階の条件が付く。

<1>今年か来年に竜王、王将、棋王を奪取、来年王座を奪取した上、保持するタイトルを全て防衛する

<2>現在格付けされている順位戦B級1組から来期、名人戦への挑戦者を争う最上級のA級へと昇級。22年度のA級順位戦で成績最上位者となって、23年開催の名人戦に登場する

<3>名人戦7番勝負(通常4~6月開催)で、先に4勝する

<1>~<3>がすべてクリアになれば、20歳11カ月での名人になれる。史上最年少名人は、谷川浩司現九段が1983年(昭58)6月15日に達成した21歳2カ月だ。

将棋界の全冠制覇は、96年2月に羽生善治九段が達成しただけ。当時は叡王を除く7大タイトルだった。95年3月に王将戦7番勝負第7局で谷川に敗れた羽生6冠(竜王・名人・王位・王座・棋王・棋聖)の夢はついえたかに見えた。翌月から始まったタイトル戦で防衛し、王将戦の挑戦者として再度名乗りを上げた。しかも、谷川王将との7番勝負は4連勝で奪取し、史上初の7冠となった。