今年を代表する言葉を選出する「2021ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート30語が4日、発表された。今回は30語中、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック関連が9語。昨年15語と半分を占めたコロナ関連は7語だった。トップ10と大賞は12月1日に発表され、同日に表彰式も開催される。

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昨年の「愛の不時着」に続いて「イカゲーム」。2年連続ノミネートの韓流ドラマはなぜ強いのか。

第一に人口が日本の約半分の韓国では、小さな国内マーケットに頼らず、そもそも世界市場を意識した制作が前提となっている。

「イカゲーム」では究極のサバイバルゲームが描かれる。勝ち残れば賞金約45億円だが、脱落者は射殺されてしまう。落ちこぼれたちの一発逆転勝負は、日本の「賭博黙示録カイジ」(福本伸行作)をほうふつとさせるが、繰り広げられるゲームは「だるまさんが転んだ」「カタヌキ」「綱引き」…呼び名こそ変われ、世界の誰もが知っている遊びが登場するところがミソになっている。世界に広がる格差社会の鬱憤(うっぷん)を反映した過激な内容と、この普遍性で多くの視聴者の心をつかんだ。

文字通り国境を越えて配信ビジネスを展開する最大手Netflixは、誰もが分かりやすいこの題材に惜しみなく資金をつぎ込んだ。1話あたりの制作費は約2億円と言われる。日本の連続ドラマの3~6倍。映画が1本撮れるスケールだ。だから、惜しみなく資金をつぎ込んだセットや衣装は、携帯やタブレットで見るには惜しいくらいの奥行きや質感がある。

キャストも新人賞を総なめして以来27年間トップ俳優の地位にあるイ・ジョンジェ(48)と、4年前の人気ドラマ「刑務所のルールブック」で注目された遅咲きの実力派パク・ヘス(39)という絶妙の主演コンビが実現。この好循環で韓流人気は当分続きそうだ。【相原斎】