将棋の史上最年少4冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=19)が、16日午前10時から始まった第80期順位戦B級1組リーグ戦で、松尾歩八段戦(41)と対戦した。

13日に竜王を初めて獲得し、4冠として臨む最初の一戦は午後10時17分、89手で勝ち、白星で飾った。午前10時の開始から相掛かりで始まった対局は、午後6時の夕食休憩まで52手。お互いの陣形を整備してじっくりと進んだ。その後、戦いが始まり後手松尾の攻めに反発した藤井が寄せきった。

「自玉に近いところで争点になって失敗しました。(自玉が)薄い形でどういう対応がいいか分かりませんでした。先手7一角(83手目)と攻めに出て、調子がいいかなと思っていました」と振り返った。

これで藤井は7勝1敗。7戦全勝の佐々木勇気七段(27)をぴたりと追走している。3日前に激戦を終えたばかりだが、「対局の間はしっかり休んで臨めています」と言う。

今期の順位戦で藤井は初戦で三浦弘行九段に勝ったものの、2回戦で稲葉陽八段に土を付けられた。3回戦からは屋敷伸之九段、久保利明九段、木村一基九段、横山泰明七段、郷田真隆九段と下している。

13期連続でB級1組に在籍している「B1の番人」こと、松尾には過去2戦2勝。2017年(平29)12月の朝日杯で初めて対戦し、この後、同棋戦を制して公式戦史上最年少での初優勝を決めた。今年3月の竜王ランキング戦2組準決勝でも勝ち、5期連続の昇級と決勝トーナメント進出を決め、一気に頂点に駆け上がった。

今回は、名人への挑戦権を争うA級に昇級する上位2人の中に入るためにも負けられない一戦だった。勝利を手にして、A級昇級にまた一歩、近づいた。13人総当たり戦のB1で、現在トップの佐々木とは来年3月の最終戦で直接対決する。「まだ先が長いので、1局1局大事にやっていければと思います」と気を引き締めていた。