東京メトロは11月30日、南北線飯田橋駅構内でグルメ冷凍自販機「FROZEN24マート」を設置した。食品会社「SOBO」との共同企画だ。商品は、「白丸元味」(1100円)「すごい煮干しラーメン」(1000円)「富山名物 俺のブラック」(1000円)「金猫餃子」(800円)と、保冷キット(200円)が入っている。この自販機、同じ鉄道会社としてはJR西日本がすでに設置済み。同社としては初の導入となる。

設置には、コロナ禍で非対面販売の必要性に迫られたという背景がある。そんななか、ラーメンをはじめ牛タン、パスタ、お好み焼きなど、さまざまな冷凍食品の自販機がクローズアップされ始めた。特にラーメンは、全国のご当地ラーメンなどを入れた自販機が路面で月に100万円もの売り上げを記録したりしている。「国民食」を乗降客に手軽に購入してもらおうと今年の夏から検討を進め、実現した。

「エキナカ(駅構内)」は、「デパチカ(デパートの地下1階)」「ホテイチ(ホテルの1階)」とともに、飲料や食料品、日用品などの物販スペースとして利便性が高い。飯田橋駅の場合、メトロは東西線、有楽町線、南北線の3線が乗り入れて1日平均約12万人が利用する。JRは約18万人が利用し、都営大江戸線が約1万1000人の乗降客がある。乗換駅で、会社勤めの人や学生も多い。「潜在需要はあるはずで、多くの人に利用してもらいたい」(東京メトロ)。

同路線の全143駅の中には飲料計1500台、アイス100台、お菓子80台の自販機がある。変わった物としては、2011年(平23)1月から「カットりんご」を7台、15年には大手町駅に富山県の特産品の認知度向上を狙った「富山県ご当地自動販売機」を設置している。「他社との差別化に加え、コロナ禍で落ち込んでいる運輸収入以外の関連事業で収益を」という狙いがある。

他社でも、JR東日本は飲料自販機の中に有名ラーメン店のとんこつスープの缶を入れた。西武鉄道と伊豆箱根鉄道のように使われなくなったタバコの自販機を使って、沿線のお茶をスティックタイプにしてタバコのようにパッケージした「チャバコ」を売り出し、ヒットを飛ばしている。

東京メトロでは今後、この自販機の順次設置場所を増やす予定。また、飯田橋駅の自販機は当初、1日約3万円の売り上げを見込んでおり、いろいろと商品を入れ替えていく。12月1日からは交通系ICカードを使用できるようにし、後日ほかの決済方式も可能にするという。