ロシアの侵攻を受けるウクライナの首都キーウ(キエフ)市長の弟で、ボクシングの元世界ヘビー級3団体統一王者ウラジミール・クリチコ氏(46)が、ロシア軍によって虐殺された市民が横たわるキーウ近郊の都市ブチャの様子を撮影した動画をSNSに投稿し、「これはジェノサイド(大量虐殺)だ」と訴えた。

クリチコ氏は、2月24日に侵攻が始まって以降、兄で同じく元ボクシングWBO&WBC世界ヘビー級王者のビタリ・クリチコ市長とともに、前線で戦っている。

ウラジミール・クリチコ氏は、動画で「プーチンとロシア軍は、民間人を後ろ手に縛り、頭を撃って殺している。これはブチャだけのことではなく、ウクライナのいたるところで起きていることだ。これは特殊作戦ではない。これは軍事対象ではない、民間人だ」と語り、ジャケットにジーンズ姿の兵士には見えない後ろ手に縛られた市民の遺体が横たわる様子を撮影し、ロシアによる戦争犯罪を告発している。

ウクライナのゼレンスキー大統領も3日「ロシア兵の母親は、これを見る必要がある。あなたがたが育てた野郎が何をしたのか見てください。殺人者、略奪者、虐殺者だ」とコメントを添え、ロシア発のSNSテレグラムに市民の遺体が横たわるブチャの街の様子を投稿。ロシアの母親たちに真実を知るよう直接訴えている。

ブチャ市長によると、先週末だけで市民300人の遺体を集団埋葬したとしている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)