ロシアが2月24日にウクライナを侵攻した数週間後に、国民の士気を低下させて政府を弱体化させるためにウクライナのゼレンスキー大統領が首都キーウの塹壕(ざんごう)で自殺したという偽情報をロシア側の工作員が流していたと米CNNが報じた。米サイバーセキュリティー企業マンディアントの調査によると、ウクライナ国内のみならず、ロシアと欧州各地でもこの残忍な戦争についての真実を混乱させ、人々を欺くための情報作戦が展開されていたという。

他にも、ウクライナから避難民が殺到した隣国ポーランドで犯罪組織が難民の臓器を狙って集めており、それにはポーランド当局も加担しているとの偽情報をベラルーシが関与していると見られる工作員が流していたと伝えている。一方で、これらの偽情報は一部のユーザーの間のみにとどまり、ネット上でほとんど注目されることはなかったとしている。

ロシア側はこれまでも、ゼレンスキー大統領が国民に武器を置いて投降するよう呼びかける捏造(ねつぞう)動画をSNSに投稿したり、首都キーウから逃亡したとの偽情報を拡散させていたことも分かっている。また、独立した報道機関を装った偽アカウントが、フェイスブックやツイッター、テレグラムで誤情報を拡散している行為も発見されている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)