国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が8日、安倍晋三元首相の悲報を受けてコメントを発表した。

「日本は偉大な政治家を失った。IOCはオリンピック・ムーブメントの勇敢なサポーター、そして親愛なる友人を失った。IOCを代表し、安倍晋三氏のご家族、ご友人、日本の皆様に心から哀悼の意を表します」

「安倍晋三氏にはビジョンがあり、それを実現するための決意と無限のエネルギーに満ちあふれていた人だった。私が最も高く評価するのは、彼が約束を守る人であったということだ」

「“東京2020オリンピック延期”という前代未聞の決断を下すことができたのも、彼のビジョン、決断力、信頼において。安倍晋三首相がいなければ、東京五輪は実現しなかっただろうし、世界中のアスリートたちの五輪出場の夢も実現しなかっただろう」

「また2024年のパリ五輪では、オリンピック・ムーブメントへのコミットメントと、時間をかけて培われた信頼あるパートナーシップとの友情を示すために、我々と一緒にいたいと考えておられた」

「オリンピック・ムーブメント全体と私は、安倍総理に尊敬と感謝の念を抱いている。だからこそ、私たちは安倍晋三氏を永遠に尊敬し続けるのだ」

奈良市内で街頭演説中にが銃撃された直後にも、IOCのツイッターを通じて「この卑怯な攻撃に、私は深い衝撃を受けています。私の思いは彼とともにあります。彼が回復することを願い、祈っています」との談話を出していたが、思いは届かなかった。

IOCは安倍元首相への敬意を表すため、スイス・ローザンヌのオリンピックハウスで3日間、五輪旗の半旗を掲げるとしている。

安倍元首相は第2次政権下の13年9月に2度目の東京オリンピック(五輪)・パラリンピック誘致。16年リオデジャネイロ五輪の閉会式では、日本が誇る人気ゲームのキャラクター「スーパーマリオ」に扮した「安倍マリオ」として話題になった。

20年3月には、新型コロナウイルス感染拡大下で史上初の1年延期を決断。「完全な形で実現するため」バッハ会長と電話会談を重ねるなど開催に向けて尽力していた。

首相辞任後、大会組織委員会の名誉最高顧問に就いていたが、無観客となったことを理由に五輪開会式への出席は取りやめていた。

安倍元首相は8日午後5時3分、奈良・橿原市内の病院で死去したことが確認された。67歳だった。【木下淳】

 

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