自民党の村上誠一郎元行政改革担当相(衆院愛媛2区、無派閥)は12日、安倍晋三元首相を「国賊」と名指ししたなどと一部で報じられ、国葬を欠席したことをめぐり、党本部で開催された党紀委員会で一年間の「党役職停止」の処分を受けた。党内最大派閥の安倍派(97人)が村上氏に厳格な処分を求めていた。

総務会などの党役職停止となった村上氏は記者会見で「感想だけを述べる」とした上で「党紀委員会で事実関係が認定され、処分が決定されました。これを重く受け止めます。発言を撤回し、深くおわび申し上げます」とペーパーを読み上げ、陳謝した。そして「15日の山口県民葬が終わりましたら、すみやかにご遺族におわびにお伺いしたい」との意向を示した。

自民党の党規律規約は党紀委員会の処分として戒告や役職停止、除名まで計8項目を定めている。委員長の衛藤晟一参院議員(安倍派)は「命懸けで国のために取り組んできた(安倍)総裁に対する国賊との発言は極めて非礼で、許し難いという意見で一致した」とし、離党勧告や党員資格停止の意見もあったことを明らかにした。

村上氏は会見冒頭で「発言撤回」とした一方で質疑では、「国賊」発言について「そんな意図は全然ない。何でああいう記事になったのか、いまだに正直言って解せない」と不快感を示し、発言の記憶を問われると「まあ正直言って、今でもない」と否定した。また「人生というのは思いもならぬ落とし穴があるんだな。まあ、そういう感じ」などと一連の騒動を笑顔で振り返った。処分の不服申し立てについては「まあ。もうちょっと考えさせてください」と保留し、読み上げたペーパーを会見席に置いたまま、5分間ほどで記者会見を打ち切った。【大上悟】