渡辺明名人(38)への挑戦権を争う、将棋の第81期A級順位戦5回戦、藤井聡太竜王(20)対広瀬章人八段(35)戦が14日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた。

午前10時から始まった対局は、午後11時56分、93手で先手の藤井が広瀬を下した。同星の広瀬を競り落として4勝1敗とし、豊島将之九段(32)とともにトップに立った。

広瀬の雁木(がんぎ)に対し、速攻を仕掛けた。駒得を生かして立ち回る。「最後までよく分かりませんでした。(自分の)玉が不安定な形になって、安定させるのが難しい将棋だった」としながらも、自玉が詰まないこともしっかり見切って相手を投了させた。

前期1ランク下のB級1組だった藤井は今期、最上級のA級に初めて昇級した。1回戦では佐藤康光九段(53)を下したが、2回戦で菅井竜也八段(30)に完敗。その後、糸谷哲郎八段(34)と斎藤慎太郎八段(29)に連勝していた。「少しずつ時間を使って考えられるようになってきた。後半戦も内容を良くしていければ」と話した。

10人総当たりで1年かけて戦うA級順位戦は、成績最上位者が来年の名人戦の挑戦者となる。藤井が挑戦者になって渡辺との7番勝負で先に4勝すれば、「ハタチ」で名人となる可能性がある。谷川浩司九段(60)が持つ21歳2カ月の史上最年少名人の記録を更新できる。大記録達成に向け、後半戦を迎える。

「挑戦に向けてまだ折り返し。意識することはありません。1局1局頑張っていきたい」と気を引き締めていた。