28日午前9時20分ごろ、長野県松本市の無職、丸山明さん(75)が、飼育していたクマに襲われたと家族から110番通報があった。丸山さんはクマに全身をかまれ、搬送先の病院で死亡が確認された。

長野県警松本署によると、丸山さんは20年程前から、体長約1メートルで雄のツキノワグマを飼育していた。通報を受けた警察官が、丸山さんがおりの中で倒れているのを見つけた。クマは丸山さんの付近やおりの外にうろついていたという。警察が猟友会に連絡し、午前10時40分ごろに射殺された。世話をしている最中に襲われたとみられるという。

松本市の保健所によると、おりの大きさは幅5メートル、奥行き2メートル、高さ2メートル。鉄製で、中は格子状の引き戸で仕切られている。通報を受けた時点では、おりの出入り口と中の引き戸が開いた状態だった。保健所に残っている記録によると、丸山さんは04年からクマの飼育許可を得ていた。今年5月に行った、動物愛護法に基づいた検査では、おりの構造や施錠などに問題なかったという。

丸山さんが自宅敷地で運営していたとみられる、サバイバルゲーム会場のホームページなどによると、クマは「赤ん坊のとき、親クマとはぐれ丸山家にて保護された」などと書かれていた。「人懐っこい雰囲気で、意外とつぶらな優しい目をしていた」とも紹介されていた。

現場は松本市の中心部から北に約10キロの山間部にある。【沢田直人】