東京・渋谷のデパート「東急百貨店渋谷本店」が1月31日、閉店した。1967年に開業し、約55年の歴史に幕を下ろした。最後の営業日となったこの日は、多くの客が訪れ、閉店を惜しんだ。跡地には、27年度に地上36階建ての複合施設が建設される予定。

閉店となる午後7時ごろ、店の入り口の前には利用客が集まり、カメラを構えて写真に収める人がいた。稲葉満宏本店長は「皆さまをお迎えした55年の間、素晴らしいすてきな出会いに恵まれました。心より感謝申し上げます」とあいさつした。シャッターが閉まると拍手が巻き起こり、目に涙を浮かべる人がいた。

店の前にいた人からは惜別の声が上がった。埼玉県草加市から来たという50代の女性は高校卒業後に、本店の食品売り場や婦人服売り場に就職した。そこで、酒店などでアルバイトしていた当時大学生だった夫と知り合い、その後結婚をしたという。この日は夫婦で訪れ、「若い時の楽しかった思い入れがたくさんある。寂しいですね」と話した。東京都・吉祥寺の70代女性は20年以上月に1回のペースで来店していたという。女性は「いつもお世話になっている店員さんにあいさつに来た。古いものがなくなってしまうのは切ないです」と思いを口にした。【沢田直人】