将棋の最年少5冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が1日、名古屋将棋対局場で指された第81期順位戦A級8回戦で、129手で永瀬拓矢王座(30)に敗れ、リーグ成績を6勝2敗とした。

8回戦を終え、藤井とともに2敗で広瀬章人八段(36)が首位タイに並んだ。永瀬は5勝3敗。3月2日の最終9回戦を前に渡辺明名人(棋王=38)への挑戦権争いは大混戦となった。

戦型は「角換わり」。永瀬が深い研究手に誘導すると、藤井は長考を繰り返した。中盤戦以降はお互い時間を使い、読みを深めた。夕食休憩後、永瀬が優勢を築き、リードを広げた。劣勢になった藤井は最後まで粘りを見せたが、届かなかった。

最終戦で藤井が負けると、最も多い場合は、5人が同率首位で並んでプレーオフが行われる可能性もある。

今期、藤井が挑戦権を獲得し、4~6月に開催予定の名人戦で渡辺名人から名人位を奪取すれば、谷川浩司17世名人の21歳2カ月の史上最年少名人獲得記録を更新する。【松浦隆司】

◆第81期名人戦・順位戦A級 8回戦終了時点の成績

※( )内は次戦9回戦の対戦相手

2敗=広瀬章人八段 (菅井竜也八段)

   藤井聡太竜王 (稲葉 陽八段)

3敗=斎藤慎太郎八段(永瀬拓矢王座)

   豊島将之九段 (佐藤天彦九段)

  永瀬拓矢王座 (斎藤慎太郎八段)

  菅井竜也八段 (広瀬章人八段)

4敗=稲葉 陽八段 (藤井聡太竜王)

5敗=佐藤天彦九段 (豊島将之九段)

7敗=糸谷哲郎八段 (佐藤康光九段)

8敗=佐藤康光九段 (糸谷哲郎八段)