将棋の最年少5冠、藤井聡太王将(竜王・王位・叡王・棋聖=20)が羽生善治九段(52)の挑戦を受ける、第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第6局が11、12の両日、佐賀県上峰町「大幸園」で行われる。シリーズの対戦成績は藤井の3勝2敗。藤井が初防衛を果たし、5冠を堅持するか。前人未到のタイトル獲得通算100期に挑む羽生がタイに戻すか。両者は10日、前日検分後、意気込みを語った。

8日に名人初挑戦を決めて中1日、藤井は佐賀県に移動した。史上最年少6冠がかかる棋王戦5番勝負、順位戦A級プレーオフ、中2日の大一番が続き、今回は中1日となる。強行軍にも「3日に一局のペースですが、その間にゆっくりと休めているので、良い状態で臨めるのかなと思う」と気丈に答えた。

ここまでの5局はいずれも先手が制している。第5局は後手の羽生が伝家の宝刀「横歩取り」の戦型で勝負をかけたが、受けて立った藤井が乱戦を制した。

第6局に向け「読み、形勢判断の精度を高めていかなければ」と課題を挙げた。

今回は羽生が先手番となる。2勝3敗と後がない羽生は「平常心でいつも通りに指せればいいなと思います」と意気込んだ。

佐賀県上峰町にあるホテル「吉野ケ里温泉 卑弥呼の湯」でファンら100人が参加した前夜祭が行われた。藤井は「2日間、集中して精いっぱい頑張りたい」と決意を語った。羽生は「大変な状況ではあるが、楽しんで、自分の将棋を指したい」とキッパリ。世代を超えたスターが初めてタイトルを争う歴史的な一戦が大詰めを迎える。【松浦隆司】