藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖=20)が史上最年少での名人獲得と7冠に向け、渡辺明名人(39)に先勝した、将棋の第81期名人戦7番勝負第2局が28日、静岡市の「浮月楼」で行われた。27日午前9時からの2日制で始まった一戦は、先手の藤井が勝って、連勝。史上最年少名人の獲得と7冠へまた一歩近づいた。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(83)が対局を振り返ります。

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藤井竜王は前例から外れた将棋になっても、よく研究していると思います。6筋に打った香を成り込んだ上、1筋に桂、香、飛車で強烈なラインを形成しました。「玉は包むように寄せろ」の格言通り、鮮やかに挟撃体制を築いて、局面を優位に導きました。

渡辺名人も中盤うまく立ち回っていましたし、リードを奪う局面もあったと思います。9筋に龍を作れましたが、これで流れが傾いてしまいました。

名人戦も含め、タイトル戦で連勝するのが獲得への鉄則。藤井竜王が史上最年少名人にぐっと近づいた気がします。第3局は渡辺名人が先手番。開幕局はうまく攻めていましたし、もう一度採用してもいいでしょう。ただ、終盤が課題です。(加藤一二三・九段)