新型コロナウイルス感染症法上の位置付けが8日に5類に移行となることを受け、飛沫(ひまつ)を防止するために飲食店などで設けられていたパーティションを見直す動きが広がっている。

東京・新橋の飲食店「根室食堂 新橋店」では3月に、パーティションとして使用していたアクリル板を撤去した。店主の平山徳治さん(50)は「アクリル板を外すことが、例年のにぎわいを取り戻すきっかけになればいいかな」と思いを口にした。約40枚あったアクリル板のうち、破損したものなどは粗大ごみとして処分した。一方で15~20枚は店内の隅に保管しているという。「お客さんの中には静かに食事をしたいという人もいて、場合によっては置くこともある」と多様化した客の声に応えていく形だ。また、ゴールデンウイーク明けなどに、再び感染者が増加する可能性を懸念し「万が一に備えていきたい」と語った。

役目を終えたアクリル板はどのように処分すればいいのか。アクリル板の加工を専門にしている「アクリルショップはざいや」(東京都葛飾区)は、新型コロナ禍の約2年半の間で100トン以上、数十万枚のアクリル板を販売してきた。5類引き下げの前に問い合わせが相次ぎ、300~400枚のアクリル板を引き取ったという。回収後はリサイクル業者に依頼して「再生アクリル」として再利用するほか、状態が良いものは写真を印刷して、パネルとして販売するサービスを行っている。

大量のアクリル板が不要となることを見越して、立ち上がったアクセサリーブランドもある。アクリル製品をデザイン、加工する「ツクリ」(東京都中央区)は、アクリル板を含む木や鏡などの端材、廃材を使用する「SHITSURAE(シツラエ)」を20年に発足した。井村文紀代表(45)によると、22年はアクリルを約1トン回収。23年は数倍の量になる見込みになるという。井村さんは「端材をゴミにしないようにこれまでも取り組んできた。受け皿になればと思う」と話した。【沢田直人】