自民党は10日、党本部で「性的マイノリティに関する特命委員会」などの合同会議を開き、LGBTなど性的少数者に対する理解増進法案の国会提出に向けた党内の意見集約に向けた議論を続けたが、この日も最終的な意見集約には至らなかった。

12日に再度議論を行うが、国内外から強い要望が出ていたG7広島サミット前の法案成立は、困難との見方が強まっている。

法案をめぐっては、2021年5月に、与野党の超党派でまとめた法案の一部の文言に関し、党内の保守派の反対論に配慮し「差別は許されない」を「不当な差別はあってはならない」に変えるなどした修正案が8日、合同会議の出席者に示された。

保守派が求めていた文言の修正が行われたことで「法案への理解が深まり、意見集約に近づいている」(出席者の1人)。しかし、もともとの法案の文言は超党派でまとめた内容だけに、野党は「自民党の都合」として強く反発している。

与党内には「与党案」として、修正案を来週にも国会に提出しようとする動きがある。

超党派メンバーの1人として2年前の法案のとりまとめに関わった、推進派の稲田朋美元防衛相は、会合後の取材に「サミット前に法案が成立すべきという意見は、今日は出なかった。時間的な問題もある」とした上で「サミットを前にある程度、進めておくべきというのは、そのとおり。(岸田文雄)総理総裁が指示を出している。今国会で成立させるべきだ」と話した。【中山知子】