将棋の藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖=20)が渡辺明名人(39)に挑戦する第81期名人戦7番勝負第4局が21、22の両日、福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われ、先手の藤井が渡辺を破った。

シリーズ成績を3勝1敗とし、最年少名人&7冠にあと1勝とした。4連覇を狙う渡辺はかど番に追い込まれた。第5局は31日から長野県高山村「緑霞山宿 藤井荘」で行われる。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(83)が対局を振り返ります。

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藤井竜王の冷静かつ強気で最善の受けを見せてもらいました。8筋の玉頭に打たれた歩を、玉で取るのですから。驚かされました。よく考えてみれば、自玉の安全を読み切っていたのかもしれません。

渡辺名人は攻めを急ぎすぎていました。居玉も、最初の位置である7一に並べたままの銀も、作戦上は問題ありません。ただ、9筋で香が走った手が「敗着」。角で先に王手をしてから7筋の歩を突いておけば、有望でした。結局、香1枚損したまま、動かざるを得ませんでした。プロの世界で「香1枚の差」は大きいです。サッカーなら11人の相手に、10人で戦うようなもの。香をああいう形で使ってしまうと、後が難しいという典型的な例でした。

第2局といい第4局といい、渡辺名人の心の折れ方が目立ちます。第5局までに気分を一新して、「1局返す」という強い気持ちが必要でしょう。

逆に、藤井竜王の史上最年少での名人獲得の確率がこれでかなり高くなったとみています。(加藤一二三・九段)