将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯5番勝負を制した藤井聡太棋王(竜王・王位・叡王・王将・棋聖=20)の就位式が24日、都内のホテルで行われた。今期、初の挑戦者となった藤井は渡辺明棋王(当時、現名人=39)に3勝1敗として、初の棋王を奪うとともに史上最年少での6冠を達成した。

「これまで結果を出せておらず、上を目指そうと思っていました。本戦ベスト4で敗れましたが、敗者復活戦を勝ち進んで挑戦することができたのはうれしく思いました」と振り返った。

式では、この日が34歳の誕生日となる姉弟子の室田伊緒女流二段が花束を贈呈した。また、藤井と同じ愛知県出身で対談をしたこともあるアイドルグループ「SKE48」のメンバー、鎌田菜月(26)がお祝いのスピーチをした。「同じ時代に生きてリアルタイムに感動を味わうのは僥倖(ぎょうこう)」と、かつて藤井が使って話題になった言葉を交えて話した。SNSで募ったファンからのメッセージの中で、「私の子どもが通っている幼稚園には『そうた』という名前の子どもが多い」といったエピソードも披露した。

式の最後に謝辞で藤井は、渡辺との対戦について触れた。「5番勝負はすべて角換わりとなりましたが、定跡を外れてからは1手ごとに難しい局面が続き、自分の長所と短所がよく出ました」と語った。3月に終わった棋王戦に続き、4月からの名人戦でも渡辺と対戦している。名人があえて定跡から外れた手順を選んでも、しっかり考えた最善手を繰り出している。棋王戦での経験を生かした形で、史上最年少での名人獲得まであと1勝として第5局(31、1日、長野県高山村)を迎える。

その前に勢いをつける。挑戦者の菅井竜也八段(31)に2勝1敗として、3連覇まであと1勝に迫った叡王戦5番勝負第4局(28日、岩手県宮古市)がある。ここで勝って、長野に乗り込みたい。