藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖=20)が1日、史上最年少名人を獲得し、7冠となった。

「最年少名人&7冠 藤井聡太」と題した連載の第2回はボクシング元WBC世界フライ級王者の内藤大助さん(48)です。羽生善治九段に勝った経験もある格闘界の将棋王が、藤井の強さの秘密を分析します。

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内藤さんは、藤井名人について独特の分析をした。「才能ではなく、学習能力が特化されている。ボクシングでも前にやられた相手に対して、どんなところが課題だったかを練習で鍛え直して学習していく選手は実力が伸びる。相手のパターンを読んで対応するところがたけていると思う」。

小学生の頃から将棋を始め、08年放送のNHKBS2正月特番「大逆転将棋2008」で、羽生九段に勝った。プロ公式戦の投了図を見て、正しく寄せられるかという企画で、見事に相手玉を詰ませた。

自身のリング上での経験もある。2002年(平14)4月、ポンサクレック(タイ)に1R34秒KO負けを喫した。05年10月の再戦は7回負傷判定負け。ところが、07年7月には判定勝ちし、翌年3月はドローで王座を防衛した。「最初は2度とやりたくないと思ったけど、対応して戦っていくうちに免疫がついた。5回目も勝てると思っていた」。

それを踏まえた上で「藤井名人は、戦えば戦うほど相手から嫌がられるのではないか」と話した。ボクシング界で例えていうならば、「殿堂入り」とも言われるほどの成績を誇り、50戦無敗で史上初の元5階級制覇王者となったメイウェザー(米国)になりつつあるという。

注目される8冠全制覇については、「100%とは言えない。勝負だから、そんな甘いもんじゃない。ただ願望を込めて、獲得する可能性はある」と期待していた。【赤塚辰浩】(おわり)