将棋の最年少7冠、藤井聡太竜王(名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖=21)が全8冠制覇を目指して永瀬拓矢王座(31)に挑戦する、第71期王座戦5番勝負第4局が11日、京都市の「ウェスティン都ホテル京都」で行われ、永瀬が王座を明け渡した。

先手で角換わりに誘導すると、研究手順に持ち込んで優位に立ち、藤井に時間を使わせた。午前9時の対局開始から3時間10分後の午後0時10分、昼食休憩に入った時点で消費時間は、たったの21分。対する藤井は2時間48分と、各5時間の持ち時間の半分以上を使わせた。中~終盤の難所に備えて時間を残しておいたはずだった。藤井の局面を複雑化するような指し手に、逆にみるみるうちに時間を削られる。気がつけば、消費時間は並び、劣勢に追い込まれていた。

過去3局の内容はむしろ押し気味だった。今局も結果的に藤井の終盤力に屈した。開幕前、「藤井さんの8冠は自分に関係ない。結果を出して名誉王座に近づきたい」と話していた。王座戦5連覇と、永世称号「名誉王座」獲得に向けて藤井を苦しめたが、文字どおり、将棋に勝って、勝負に負けた。【赤塚辰浩】

【動画】永瀬拓矢王座が自らの手の後に天を仰ぎ頭をかきむしる…勝負と将棋の歴史動いた瞬間