東京都の小池百合子知事(71)のカイロ大卒業の学歴をめぐり、2020年に同大学長名で出された小池氏の卒業を証明する声明に関し、「学歴詐称疑惑の隠蔽(いんぺい)工作に加担した」と月刊誌「文芸春秋」に手記を発表した元側近の小島敏郎氏(75)が17日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見した。

小島氏は環境省の元官僚で、小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の事務総長も務めた。弁護士の資格も持つ小島氏は冒頭、「私は図らずも小池知事の学歴疑惑隠蔽(いんぺい)工作に加担してしまった」と言及。大学側の声明が、駐日エジプト大使館のフェイスブックに掲載された経緯について「6月6日に小池知事に相談を受け、カイロ大に声明を出してもらったらどうかと提案した。翌日、中身に関する相談をメールで受けたが私は対応せず、既に来ていた大学からのイベントの招待状で追及を乗り切る旨、返信した」とし、小池氏に送付したものだとするメールの文面を公開した。

この時、小池氏は小島氏の友人の「元ジャーナリストのA氏」に「声明文の作成を依頼した」と、小島氏は主張。翌日、小池氏から大学長のサイン入り声明文が送られてきたとして「驚異的な早さだ」と訴え「実際には彼女が作成に関わっていた」「隠蔽(いんぺい)工作に現職知事が関わったことは重大な問題」などと訴えた。

小池氏が留学当時に同居していた女性が、著書などで小池氏のカイロ大卒業について否定している証言があるとして「実態を調べないといけないというのが、法律家の考えだ」とも口にした。

A氏とも情報交換を続けているとして、いずれはA氏も実名を明かして証言すると主張。小池氏がもし7月の都知事選に3選を目指して出馬した際に、カイロ大卒業と経歴に書くようなら公職選挙法違反の疑いが生じるとして、刑事告発に踏み切る考えを表明。「小池氏と法廷で闘うことになれば、すべてを明らかにする」とも口にした。

一方、小池氏は学歴詐称疑惑について一貫して否定している。4月12日の定例会見では、小島氏の手記内容にも反論。「卒業していないとおっしゃるが、大学が卒業を認めており、すでに卒業証書と卒業証明書はこの場でもお伝えしてきている」と述べ、大学側の公表の早さは「卒業の事実があるからこそのスピード感だ」と強調。小島氏の提案については「あまり鮮明には覚えていない」とした上で「前回(学歴詐称疑惑で)騒いだ時は2020年6月で(再選出馬した)都知事選の直前。選挙のたびにこうした記事が出るのは、そもそも残念」と述べた。