将棋の元名人で「ひふみん」の愛称でも知られる加藤一二三(かとう・ひふみ)九段が22日午前3時15分、肺炎のため死去した。86歳だった。生前数々の伝説を残した加藤さんだが、日刊スポーツでは名物コラム「ひふみんEYE」を担当していた。そんな加藤さんとの思い出を将棋担当の赤塚辰浩記者が振り返ります。

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加藤先生はユーモアの分かる人だった。3年前、秋の園遊会に招かれた。ちょうど、王座戦を制して藤井聡太8冠が誕生した直後というタイミングだった。秋晴れの中、両陛下は笑顔で声をかけて回られた。

天皇陛下と藤井の活躍が話題になっており、加藤さんは「将棋界は最近、藤井聡太さんという若手が現れまして、大変盛り上がって非常にいいことだと思っております。藤井さんは素晴らしいですね。大変感激しました」と話した。

いつでもどこでも誰とでもマシンガントークは健在。その映像を見て、記者は後日こう声をかけた。

「園遊会では、天皇の将棋番になられてましたね」。TBS系の人気ドラマ「天皇の料理番」と掛けた用語を使ったら、加藤さんは大笑いしていた。

もっとも、その日はもっとご満悦になる出来事があった。シンガー・ソングライターの松任谷由実さんが加藤さんの隣に並んでいた。そして、日本を代表するアーティストから、こう声をかけられた。

「ひふみんとユーミンですね」

これが加藤先生の笑いのツボに入った。家族にも園遊会でのお土産話として披露して、しばらくご機嫌だったという。【赤塚辰浩】(おわり)

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