川田騎手の好判断が光った。1コーナーを後方2番手で回ったプログノーシスを向正面で馬群の中へ導くと、馬なりでポジションを上げていく。内ラチ沿いを走るトップナイフと馬場のいい外めを通る各馬の間。動くタイミングとしては早いが、勝負どころをいつもより前に設定した作戦がピタリとはまった。

これだけG1級の馬がそろっても、レースの上がり3ハロンは36秒4かかっている。「切れ」を封じられるコンディションで後ろから一気に差し切るのは至難の業。実際に35秒台の脚を使った馬は1頭もいない。これまでとは違う乗り方をしたのは、トラックバイアス(馬場の傾向)を考えてのことだろう。

プログノーシスの長くいい脚を使う「持久力」を生かしながら、他馬の体力を奪っていく。3コーナーではジャックドールの内に張り付いてライバルの動きを止めた。後退するユニコーンライオンとウインマリリンの間を擦り抜けるように外へ出し、直線は馬場のいい真ん中へ。このあたりの進路取りも見事だ。

4コーナーでは相手をトップナイフ1頭に絞って豪快に抜け出した。上がりはメンバー最速36秒0。2着に4馬身差。鞍上の巧みな手綱さばきがあったとはいえ、3カ月ぶりで万全の状態ではない中での圧勝劇は、さらなる高みへの大きな1歩となった。