チャンピオンズCは「まくり合い」になる。水島晴之「G1の鍵 その一瞬」は、武蔵野S4着スマッシングハーツ(牡6、新谷)に注目した。重賞未勝利で実績は見劣るが、2戦連続最速(タイを含む)上がりをマークするなど、決め手は互角以上。この馬向きの流れになれば侮れない。

前走、武蔵野Sで上がり最速タイの34秒8の脚を見せたスマッシングハーツ
前走、武蔵野Sで上がり最速タイの34秒8の脚を見せたスマッシングハーツ

スマッシングハーツの前2走はともに流れが不向きだった。グリーンチャンネルCは脚抜きのいい重馬場で、デシエルトが1分33秒5のレコード勝ち。前が止まらないコンディションの中、上がり最速34秒0の脚で0秒7差4着まで追い上げた。前走の武蔵野Sも逃げたバスラットレオンが3着に粘る競馬で4角14番手では、0秒5差まで詰めるのがやっと。負けはしたが内容は悪くない。

まだ重賞未勝利だが、過去の対戦相手から瞬発力はG1でも通用する。連覇を狙うテーオーケインズとも平安Sで対戦して1秒差の4着。ちょっと離されたが加速しかけた4コーナーで4、5頭分外へ振られるロスがあった。もう少し前の位置か、4角をスムーズに回ってきたら、もっと差は詰まっていただろう。

距離が微妙に長かったブリリアントS(東京2100メートル=10着)、59キロを背負って前が詰まったアハルテケS(8着)を除けば、しまいは確実に脚を使っている。実績では見劣るが、前走で敗れたギルデッドミラー、レモンポップ、2走前のデシエルトはマイルならこのメンバーでも重い印がつく馬。これらと接戦してきた脚力があれば、ここでも勝負になっていい。

あとは流れが向くかどうか。「ここが鍵」でも触れたが、サンライズホープがみやこSのように3角まくりに出れば、後ろの組に展開の利が生まれる。中京ダートは【2 1 0 3】の巧者だ。1900メートルでも勝っており距離延長に不安はない。消耗戦になって少し上がりがかかれば怖い存在になる。

■サンライズホープの出方が展開左右

【ここが鍵】

サンライズホープの出方が展開を左右する。逃げ、先行で結果を出してきた馬が、みやこSでは3角まくりをかけて差し切った。新たな「戦術」が成功したことで、今回も同様の乗り方になる可能性は高い。逃げ馬不在で前半1000メートルはゆったり進みそうだが、サンライズホープが早めに動けば残り800メートルから消耗戦へ突入する。

先行・好位付けの馬にすれば、勝負どころで外からかぶされるとリズムを崩す恐れがある。それを嫌ってテーオーケインズ、クラウンプライド、グロリアムンディあたりが早めに仕掛ければ、後方待機組に付け入る隙が生まれる。言葉は悪いが、展開待ちの「しまい勝負型」がはまるシーンも十分考えておきたい。

■ハピ、馬混みを経験

みやこSで4着に敗れたハピは、かなり厳しい競馬を強いられた。中団の内で流れに乗ったが、4角手前からは詰まって窮屈になるシーンも。直線は内をさばいて伸びたが、外の馬とは勢いが違った。ただ、外差しだけでなく、ここ2戦で馬混みを経験できたのは大きい。正攻法では厳しいが決め手が生きる流れなら上位争いできる。

■中距離こなすタガノビューティー

タガノビューティーも早めに動くと良くない。展開待ちの馬だが、ためればしっかり脚を使う。全6勝中5勝が1400~1600メートル。1800メートル【1 1 0 0】、1900メートルでも【0 0 1 0】と中距離もこなす。中京は2、3着が1回ずつだが左回りは【6 5 4 3】と得意の舞台。器用さには欠けるがはまれば一発がある。


※次回の更新は12月20日に有馬記念の予定