生まれ育った北の大地で復活だ!

無敗で桜花賞を制した白毛馬ソダシ(牝3、須貝)が、強豪古馬との初対戦で復活Vを飾った。3歳牝馬の札幌記念制覇は、14年ハープスター以来7年ぶり史上3頭目の快挙。オークス敗戦のショックを勝利で吹き飛ばした。今後は札幌に滞在して調整の予定。次走についてはオーナーと相談して決定する。

“つよかわいい”白毛馬ソダシは、北の大地でも強かった。先頭でゴールを駆け抜けた直後、吉田隼騎手は左手でこん身のガッツポーズ。札幌競馬場全体が大きく、そして温かい拍手に包まれた。「オークス(8着)では期待に応えられず悔しい思いをしましたが、復帰戦でソダシらしい競馬をしてくれました」。初黒星を喫した前走からの復活に、鞍上は安堵(あんど)の表情を浮かべた。

常にコンタクトを取ってきた名コンビらしく、レース運びは完璧だった。不利と思われた大外枠だったが、好スタートから楽に2番手につけ、折り合いもばっちり。「いつでも動けるぞという手応えが手綱からありました」。向正面でブラストワンピースが一気にまくり、それに反応する形で早めに先頭に立つ形となったが、鞍上は慌てない。直線入り口で満を持して追い出すと、持ち前のど根性で後続を振り切った。「早めに来られた時もスッと反応できましたし、さすがG1馬ですね」。相棒の能力の高さに目を細めた。

ただ、楽観視していたわけではない。オークス(2400メートル)の敗戦後に「距離が合わなかった」と振り返っていた同騎手。今回は2000メートルに短縮されたが「札幌2歳S(1800メートル=1着)の時も最後は脚があがっていたし、今回も距離がどうか」と懸念はあった。そんな中で積極的に運び、しっかりつかんだ収穫ある1勝。「秋に向けて楽しみになってきますね」と次なる大舞台を見据えた。

競馬史に残る記録を次々に打ち立てるアイドルホースがまた1つ、古馬重賞制覇という勲章を積み上げた。須貝師が「クロフネ(産駒)は、2000メートル以上(の平地重賞)を勝てないというマイナスなこともあったけど、ソダシがやってくれた。新たな伝説を作った」と言うように、古馬の壁と同時に距離の壁も撃破。今後の選択肢、そして夢が広がる勝利となった。次走は未定だが、多くのファンの期待を背負い、秋も白く染めあげる。【藤本真育】

◆ソダシ▽父 クロフネ▽母 ブチコ(キングカメハメハ)▽牝3▽馬主 金子真人ホールディングス(株)▽調教師 須貝尚介(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績7戦6勝▽総収得賞金 3億3714万2000円▽主な勝ち鞍 20年札幌2歳S(G3)アルテミスS(G3)阪神JF(G1)、21年桜花賞(G1)▽馬名の由来 純粋、輝き(サンスクリット)