英国の女性騎手、ホリー・ドイル(25)が新たな歴史をつくった。英オークス3着馬ナシュワ(J&T・ゴスデン、父フランケル)とのコンビで制し、自身初のクラシック競走制覇、第173回を数えるディアヌ賞(仏オークス)の歴史で女性騎手の初制覇という快挙を達成した。

1番人気に推されていたナシュワとホリー・ドイル騎手。2番枠からスタートを決めると、各馬がけん制し合う中、集団の先頭で折り合った。直線は内をすくって先頭に立ったオリビエ・ペリエ騎乗のアガヴェを力強く抜き去ると、外から迫ったモッセ騎乗のラパリジェンヌを短首差で封じた。

19年に英国の女性騎手年間最多勝記録を更新し、20年夏からはイマッド・アルサガー氏(07年の英ダービー馬オーソライズド、17年の愛チャンピオンS覇者デコレーテッドナイトなどを所有)の主戦騎手となったホリー・ドイル。レース後の馬上では昨年1月に婚約を発表し、今年結婚した夫のトム・マーカンド騎手(7着のゼリーに騎乗)と喜びを分かち合う姿も見られた。

管理するジョン・ゴスデン師はレース後のインタビューで、今回の快挙につながる秘話を打ち明けた。「彼女はとても輝いている若手騎手です。2年前、イマッド・アルサガー氏に主戦騎手にするべき騎手を聞かれました。そのとき、私は候補にしている騎手のリストを見て、即答したんです、『ホリー・ドイルです』と。彼女は本当にプロフェッショナルですし、とても性格のいい子で、そして、とてもハードワークができますから」。

ドイル騎手は自身のツイッターにレース後の心境を投稿。「今日、シャンティイで行われたディアヌ賞は私のクラシック初勝利で夢がかないました。オーナーで生産者のイマッド・アルサガーさん、本当におめでとうございます。そして、ジョン・ゴスデン調教師、タディ・ゴスデン調教師、クレアヘブン(ゴスデン厩舎)のすべての人が素晴らしいことを成し遂げました。ナシュワが素晴らしいパフォーマンスをしてくれました」と喜びを爆発させている。

まだ25歳と若く、実績も十分のホリー・ドイル騎手。以前に英国滞在で長期の海外遠征を行った日本馬ディアドラ(橋田厩舎)とコンビを組んだ経験(ラストランとなった20年11月のバーレーンインターナショナルトロフィー8着)もあり、日本の競馬関係者とのつながりも持っている。夫のマーカンド騎手とともに短期免許で来日する日もいずれやってきそうだ。