香港国際競走はウインマリリンが勝った香港ヴァーズを除く3つのレースを地元馬が制して終了。完全勝利とはいかなかったものの、香港サイドとしては満足のいく結果になったのではないでしょうか。

最大の収穫は好ライバルとして火花を散らしてきた4歳馬の両エース、カリフォルニアスパングルとロマンチックウォリアーが、それぞれの得意距離で完全に足もとを固めたことです。

マイル路線で王者ゴールデンシックスティを2着に退けたカリフォルニアスパングルは、レースの途中から伏兵ビューティージョイのまくりに遭う予想外の展開にも、慌てることなく直線で巻き返して優勝。G1馬となって、これからはゴールデンシックスティとの名勝負を重ねるものとみられています。

主催する香港ジョッキークラブ(HKJC)が喜んだのは、香港カップで2着の日本馬ダノンザキッドに4馬身半差をつけたロマンチックウォリアーの勝ちっぷりです。

地元馬による香港カップの勝利は18年のグロリアスフォーエバー以来4年ぶり。過去にこの路線で外国馬と互角に渡り合ったワーザー、デザインズオンローム、カリフォルニアメモリーに勝るとも劣らない大器で、これからの成長次第では国際級の名馬に育つ可能性を秘めています。

ロマンチックウォリアーは昨年6月に行われた香港国際セールで、現オーナーに480万香港ドル(当時約6720万円)で落札された馬。HKJCが世界中のセリで買い集めた馬に調教を施して香港馬主に向けて売却するセールの出身馬は香港の全競走馬の約5%と少数ですが、11日日曜の同馬の走りはセール出身馬、最高のパフォーマンスとなりました。

短距離の実力NO・1を証明したウェリントンも合わせて、強い香港馬が復活した1日でした。

【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)