ディープインパクトが残した最後の世代が3歳を迎えました。

正月開催でライトクオンタムがG3日刊スポーツ賞シンザン記念に優勝し、この世代で国内初の重賞勝ち馬となりましたが、欧州ではひと足早くオーギュストロダン(牡3)が、英ダービーの登龍門として位置付けられるG1フューチュリティトロフィー(ドンカスター、芝直線1600メートル)に優勝。クラシックの最有力候補となって、皐月賞にあたる5月のG1英2000ギニー(ニューマーケット、芝1600メートル)に向け体力づくりに励んでいます。

オーギュストロダンは母のロードデンドロンが、日本でディープインパクトに種付けされたのち母国で産んだアイルランド産馬。ロードデンドロンは2歳時にG1フィリーズマイル、3歳時にはG1オペラ賞、4歳時にはG1ロッキンジSを制した名牝で、その初子のオーギュストロダンは「10冠ベイビー」です。

A・オブライエン厩舎から昨年6月にデビューしたオーギュストロダンは初戦こそ2着だったものの、2戦目に勝ち上がると3戦目のG2チャンピオンズジュベナイルS(芝1600メートル)に優勝、4戦目でG1ウイナーとなりました。同厩舎には2歳G1を2勝して、カルティエ賞最優秀2歳牡馬に選出されたブラックベアードという未対決馬がいましたが、そのライバルは10月の調教中に故障して引退となったため、英2000ギニーでオーギュストロダンの前に立ちはだかるのは、同じく同門でG1フェニックスSなど5戦4勝のリトルビッグベア(牡3、父ノーネイネヴァー)だけとなっています。

オーギュストロダンは最初の関門さえ突破できればG1英ダービー(前売りオッズ3.5倍)、それに菊花賞にあたるG1英セントレジャーともに有力で、1970年のニジンスキー以来、久しく現れていない英3冠馬の誕生も夢ではないようです。

ニジンスキーは、その最後の産駒に“キングジョージ”や凱旋門賞などを制した不世出の名馬ラムタラを送りましたが、偉大なる父の忘れ形見となるオーギュストロダンは、どんな成績を残すのか。春の平地シーズン開幕が楽しみになっています。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)