単勝1・4倍の断然人気に推された桜花賞馬リバティアイランド(中内田)が川田騎手に導かれ、昨年のスターズオンアースに続く史上17頭目の桜花賞、オークス2冠馬に輝いた。勝ち時計は2分23秒1。

ゲート入りを静かに見守ったファンは最後の直線は大歓声で迎えた。その期待に6馬身差で突き抜ける圧勝劇で応えた。2冠牝馬の次の目標は3冠。秋華賞(G1、芝2000メートル、10月15日=京都)を目指す予定だ。

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最後の直線。桜花賞馬リバティアイランドがスタンドの視線を独占した。衝撃の6馬身差。前走時の進み具合とは打って変わって、道中は中団ポジションで運んだ。持ったままの手応えで直線へ入ると、川田騎手が進路を見極めてステッキを2発。その合図で一瞬にして他馬を突き放し先頭に躍り出た。「直線で進路を作りさえすればと思っていました」という鞍上の期待通りに加速し続け、直線半ばでは独走状態。それでも騎手は追い出しの手を緩めることはなかった。「先々を見据えて2400メートルで、目いっぱいではありませんが、しっかり動きを求めました」。牝馬路線の秋華賞よりさらに先、この馬の能力はそこまで到達すると見越したものだった。史上17頭目の桜花賞、オークス2冠馬はすでに先を見据えている。

ゲートが開くまでの間、東京競馬場が静まり返った。週中に川田騎手が全国の競馬ファンに向けた願いがかなった。それは若き乙女たち18頭が安全なスタートを切るため。そして発馬となった瞬間、一気に歓声がわいた。ゲート入りを静寂で見守ったファンは最初に我慢した分、ありったけの歓声で府中の直線を激走する馬たちを鼓舞した。川田騎手は「ゲート入りの際、2秒我慢していただきたいという内容を、ファンの皆さまが聞いていただき、全馬無事にスタートすることができました。大変ありがたく思っております」。鞍上の言葉にスタンドから大きな拍手が起きた。最高の競馬を見せたい騎手、そして見たいファン。全ての人が一致団結した。

2歳女王。春2冠。現時点で獲得できる称号をほしいままにした。今後について中内田師は「まずは馬の無事を確認してからになりますが、この馬にしかない資格がありますので、それを目指していきたいと思います」と、牝馬3冠最終戦の秋華賞を示唆した。そして、最後に「どこまで良くなるのか」とぽつり。陣営も計り知れない能力を秘める2冠馬。2400メートルを圧倒的な内容でこなした女王はさらなら高みに向かっていく。【舟元祐二】

◆リバティアイランド ▽父 ドゥラメンテ▽母 ヤンキーローズ(オールアメリカン)▽牝3▽馬主 (有)サンデーレーシング▽調教師 中内田充正(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 5戦4勝▽総収得賞金 4億2947万2000円▽主な勝ち鞍 22年阪神JF(G1)、23年桜花賞(G1)▽馬名の由来 米、アッパーニューヨーク湾の自由の女神像が建っている島