札幌開催もラスト2週間。松田記者に代わり、札幌出張2年目の桑原が当コラムを担当します。読者の方々に少しでも予想に役立つ情報を提供できればと思います。
今週日曜は秋の短距離王決定戦へ向け大事なステップレースの1つ、キーンランドC(G3、芝1200メートル)が行われます。
開門直後の午前5時半、ひときわ輝くG1馬専用ゼッケンを身にまとう、ナランフレグ(牡7、宗像)の姿がありました。昨年の高松宮記念ではキャリア29戦目にして悲願のG1初制覇。同じくG1初制覇を達成した丸田騎手の涙に多くのファンが胸を打たれました。
あれから約1年半。今年の高松宮記念でも4着と地力の高さを見せましたが、G1制覇以降6戦白星から離れています。
ただ、今回はひと味違う様子。函館での1週前追い切りでは僚馬のラーグルフを2馬身突き放し、動きの良さが目立ちました。担当の玉舎助手は「函館に移動してから具合がよくて、1週前に乗ったマル(丸田騎手)も『絶好調ですね』と言ってたね」と笑顔。「最近は昔に比べておとなしくなってたし、放牧から帰ってきても少し硬さがあった。でも今回は放牧明けでも一切硬さがなかったし、元気もあってこれならまだまだできるなと思ったよ」と、活気を感じたそうです。
“秘密兵器”の効果も絶大です。丸田騎手の助言などで、2週前からブリンカーを着用。日々の調教にまたがる同助手は「ハミを取るようになったし、うなるような感じが出てきたね。2週前の日曜に函館のウッドで乗った時も重馬場を気にせずうなっていたし、馬体を沈ませて走っていた。これはすげぇ、なって。今までのナランフレグでは感じたことのないほどだったね」と称賛が止まりません。
実力馬、新鋭、洋芝巧者など多彩なメンバーの中で唯一のG1ホース。「期待しかないですね。マルの手綱と、展開が向くことを願うだけです」と復活へ祈るような思いを、ひしひしと感じました。まだまだ若い者には負けられない-。そんな走りを期待せずにはいられません。【桑原幹久】