今週から秋競馬が開幕! 阪神ではサマースプリントシリーズ最終第6戦のセントウルS(G2、芝1200メートル、10日、1着馬にスプリンターズS優先出走権)が行われる。注目は「短距離王国」安田隆行厩舎が送り出すアグリ(牡4)。2月に阪急杯を制した新星が、厩舎最後のスプリンターズS(G1、芝1200メートル、10月1日=中山)へ好ステップを見せる。

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かつてスプリンターズSを3連覇した安田隆師が現役最後の秋を迎える。数々のタイトルを獲得してきた「短距離王国」が最後のスプリンターズSを目指し、前哨戦のセントウルSへ送り込むのがアグリだ。

昨夏から今年2月の阪急杯まで4連勝。その後に高松宮記念→香港のチェアマンズスプリントプライズと芝1200メートルのG1を連戦したのは「先を見据えてのことだった」と安田隆師は振り返る。早くから目標は、今秋のスプリンターズSに置かれていた。

結果、高松宮記念は7着、チェアマンズSPは5着に終わったが「高松宮記念は慣れない特殊な馬場(不良馬場)で頑張っていたし、香港ではペースの速い競馬を体験した。いい経験になったと思う」と臼井助手は成果を感じている。

そして迎える秋初戦。欧州の一流スプリンター、カラヴァッジオの息子は素晴らしい動きを見せている。8月31日の1週前追い切りでは栗東坂路で4ハロン50秒9-11秒9。前半から飛ばしつつ最後もしっかり伸び切った。臼井助手いわく「だいぶしっかりとした」と伸び盛りの4歳牡馬らしい成長を見せている。

だが、スプリント界の頂点に立つには、さらなる進化が必要なことも知っているという。「近くで見てきた偉大な厩舎の先輩は、ここからもっと良くなった。カレンチャン、ロードカナロアとも、もう1段、2段と成長した」。あの域までいけるのか。まずはセントウルSで力試しだ。【岡本光男】

◆短距離王国  来年2月末で定年となる安田隆師は名馬ロードカナロアをはじめ、多くの一流スプリンターを輩出してきた。スプリンターズSは11年カレンチャン、12、13年ロードカナロアで3連覇。春の高松宮記念は12年カレンチャン、13年ロードカナロア、21年ダノンスマッシュで計3勝。ロードカナロアでは12、13年香港スプリントも連覇した。芝マイルG1も13年安田記念をロードカナロアで、22年NHKマイルCをダノンスコーピオンで制している。

◆カラヴァッジオ 14年2月23日生まれ、米国産。芦毛。父スキャットダディ。現役時はA・オブライエン厩舎所属。16年4月のデビューから無傷6連勝。通算10戦7勝。愛、英で芝1200メートルのG1を各1勝。今年から静内種馬場でけい養されている。