宿敵にリベンジを果たした。母父にトウカイテイオーを持つ2番人気レーベンスティール(牡、田中博)が中団から差し切り、重賞初制覇した。

デビュー戦で2着に敗れ、約10カ月ぶりの再戦となった皐月賞馬ソールオリエンスに1馬身3/4差をつけた。勝ち時計は2分11秒4。この日で短期免許期間が終了する鞍上のジョアン・モレイラ騎手(39)は18年11月の京都2歳S(クラージュゲリエ)以来、約4年10カ月ぶりのJRA重賞制覇。3着シャザーンまでが優先出走権を手にした。

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あの日の悔しさを、すかっと晴らした。直線、外めからレーベンスティールが堂々と抜け出す。“マジックマン”のステッキ3発に応え、迫るソールオリエンスを蹴落とした。左拳を振り下ろして喜んだモレイラ騎手は「特別な馬になる可能性が非常に高いです。G1馬になるチャンスがあると思いますし、今日の勝ち方も素晴らしかった」と称賛の言葉をハイテンポに並べた。

前回は完敗だった。22年11月13日。府中の直線でソールオリエンスと馬体を併せて競り合った。首差の2着。体質の弱さから出世は遅れたが、着実に実が入り、今回の中間は過去最高の強度で勝負をかけられた。田中博師は「新馬戦も仕上げられたと思いましたけど、負けてしまいました。それから成長してくれていますし、今回もここを勝つことを目標に、意図したメニューに耐えて非常に頑張ってくれました」とねぎらった。

ロマンは広がる。初タイトルとともに新装京都で3年ぶりの開催となる菊花賞(G1、芝3000メートル、10月22日)への優先出走権も獲得。今後は未定も、同馬を所有する(有)キャロットファームの秋田社長は「オールドファンにはたまらない血統で距離も持つと思う。疲労度などを見てから決めたい」と話す。同世代のライバル対決は1勝1敗。母の父トウカイテイオーは現役時に無敗で2冠制覇も、骨折で菊花賞を断念。ドラマチックな背景を持つレーベンスティールの生きざまから、目が離せない。【桑原幹久】

◆レーベンスティール ▽父 リアルスティール▽母 トウカイライフ(トウカイテイオー)▽牡3▽馬主 (有)キャロットファーム▽調教師 田中博康(美浦)▽生産者 広富牧場(北海道日高町)▽戦績 6戦3勝▽総収得賞金 8405万9000円▽馬名の由来 生き様(独)。父名、母名より連想。生き様で魅了する馬になるように。