土曜メインは秋の東京開催開幕を告げる2歳重賞、サウジアラビアRC(G3、芝1600メートル、7日)が行われる。6月3日の現2歳世代最初の東京新馬戦で、9馬身差の“圧逃劇”を演じたシュトラウス(牡、武井)が無傷2連勝での重賞制覇を狙う。ひと夏を越えて、心身ともに順調な成長曲線を描く。登録9頭と少数精鋭になりそうな出世レースを勝ち切り、未来を広げる。

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暖かい日差しがありながらも風は涼しく、気持ちのいい秋晴れが包み込む美浦にモーリス産駒のシュトラウスが姿を現した。厩舎レクリエーションのため、火曜朝は馬場入りする馬が少なく閑散とした中、厩舎周りの乗り運動からじっくり体をほぐした。角馬場で汗を流してウッドで軽め。最後はBコース(ダート)に移り、速めキャンターと入念な調整を終えた。引き揚げてきた時にはすでに息は整っており、悠々と厩舎に戻った。シルエットの良さは相変わらずだが、春に比べて馬体が大きく雄大なものとなっている。

武井師は「順調です。こういう馬が少ない時にやれて良かった。日曜にすごい動き(ウッドでラスト1ハロン11秒0)をしていたので、今日は落ち着かせながら。気持ちがリセットできた」と、最終追い切りを前に満足そうな表情で答えた。

今年の出世レースは少数精鋭の一戦の様相だが、気負いはない。母は08年マイルCS覇者のブルーメンブラット。母譲りの脚力で、素質馬が集まる現2歳世代最初の東京新馬戦を9馬身差で逃げ切った逸材だ。不良馬場を平然とこなし、体力は証明済み。あとは開幕週の同舞台で、どんな競馬を見せるのか楽しみしかない。師は「体力はやばいくらいある。さすがに瞬発力はボンドガールの方がありそうだけど、その分こっちは前で受けたい。これで勝ったらスーパーホースだね(笑い)」と熱を帯びた目で語っていた。【舟元祐二】

■エコロマーズは順調に調整

エコロマーズは2番人気に支持された前走のアスター賞が5着。「ゲートでかなりの後手でした。出たあともジョッキーは掛かるのを気にしたようで、あの子のリズムで全然走れていなかったですね」と牧浦師。参考外とみていい。中間の調整は順調。ゲートも練習では問題ない。「(左右の)回りは関係ないです。ここでどこまでやれるかですね」と師。初めての重賞は真価を問われる一戦となる。

■レーヴジーニアル、孝行V再び

レーヴジーニアルは、13年阪神JFを勝ったレッドリヴェールの4頭目の産駒。舌を縛った2戦目の札幌で勝ち上がり、母に産駒初勝利をプレゼントした。「フットワークも反応もスタートもいい馬です」と担当の中西助手は素質の高さを口にする。性格も「おとなしいけど必要なときは気合が乗って注文がないです」とのことで大いなる可能性を秘める。今度は母に重賞勝ちの報告となるかも。

◆サウジアラビアRCは出世レース いちょうSからサウジアラビアRCに名称変更した15年以降、平地に限れば17年ダノンプレミアム、18年グランアレグリア、19年サリオス、22年ドルチェモアの勝ち馬4頭が後のG1馬に。また17年2着ステルヴィオ、21年3着スタニングローズも後にG1馬の称号を得た。