アメリカに滞在して2日目の現地10月31日、初めてサンタアニタパーク競馬場へ取材に行ってきました。ルメール騎手から「世界一美しい競馬場だよ」と聞いていましたが、まさにその通り! 壮大にそびえ立つ山々を見て、心から来て良かったと思える絶景でした。

さて、本題に。

本日は、BCターフ(G1、芝2400メートル、現地4日)に出走する21年ダービー馬シャフリヤール(牡5、藤原英)が、西塚騎手(レースはC・デムーロ騎手)を背に芝コースで調整を行いました。さすがディープインパクト産駒と思わせるばねで、素軽い動き。またがった西塚騎手も「日本の時よりも素軽さが増したと思います」と好感触でした。かなり状態は良さそうです。

そんなシャフリヤールですが、昨年のドバイシーマCを勝利して以来、1年半以上もの間、勝ち星から遠ざかっています。米最高峰の祭典で復活を-。藤原英師に話を聞くと、そこには熱い思いがありました。

藤原英厩舎では、新馬が入厩すると師自らまたがって、歩様や走りなどをチェックします。その時点で、シャフリは他馬と違っていたそうです。「ダービーを勝てると思った。それくらい走りに軽さがあった」。背中、手綱から伝わる圧倒的な能力。実際、師の感触の通りにダービーを制覇しましたし、当初から素質はずばぬけていました。

力さえ出し切れれば、世界のどんなレースでも勝てるだけの力がある。そう信じて、あえて芝レース世界最高峰の1つ、BCターフを選択しました。

藤原英師 本気で野球をやっている人は誰もが、WBC出場やメジャーリーガーを目指す。競馬もそれと一緒。アメリカやヨーロッパの最高峰を目指すことを常に考えてやってきている。シャフリヤールはそれだけの馬だから。

もちろん思いだけではない。「ヨーロッパよりもアメリカの方が走りやすい」と勝算があるからこその挑戦です。

ブリーダーズCへの思いもありました。「歴史を感じるレース。ゼニヤッタ、アメリカンファラオ、フライトラインなどがいた、サンタアニタパーク競馬場で競馬ができる。幸せだし、感謝したい」と師。シャフリヤールに携わる多くの人々、そしてファンの思いも胸に、いざ決戦へ。

サンタアニタの地で、日本ダービー馬の復活勝利が見られると信じています。【藤本真育】