世界の強豪が集う国際レースを日本のダービー馬が制した。第21回ジャパンC(G1、芝2400メートル=東京)はオリビエ・ペリエ騎手(28=フランス)のジャングルポケット(牡3、栗東・渡辺)が、テイエムオペラオー(牡5、栗東・岩元)との激しいたたき合いの末、わずかに首差、競り勝った。2年間トップの座に君臨し続けた王者を打ち破り、ジャングルポケットの時代が幕を開けた。レース後、陣営は来秋の海外遠征プランを明らかにした。
◇ ◇ ◇
残り200メートルでその差はまだ3馬身あった。先頭を走るのは王者テイエムオペラオー。「届かないか」。ペリエは一瞬、勝利をあきらめかけた。11万5000人のだれもがオペラオーの勝利を確信していた。
ただ1頭だけは違っていた。ジャングルポケットはまだ闘志を失っていなかった。「馬が我慢してくれた」。ペリエはすべての力を両手綱にこめた。
残り10メートルで並んだ2頭。「3歳馬だけには負けたくない」。最強馬とダービー馬、和田の意地とペリエの執念とがぶつかりあった。最後の一完歩で抜け出したのは青い帽子だった。差はわずかに「クビ」。しかし、大きな「クビ」。歴史が変わった瞬間だった。
勝った。ペリエは喜びを爆発させた。2度、3度、4度と右腕を突き上げた。大歓声にこたえスタンドの中にステッキとゴーグルを投げ入れた。大好きな日本のファンと喜びを分かち合った。「ベリーハッピー、チョウ(超)ハッピー」。最高の気分だった。
3週間前に初騎乗が決まると、すぐにビデオテープを取り寄せた。「しまいはいい脚を使う」。すり切れるほど見て馬の特徴を頭に入れた。レース前の打ち合わせでは渡辺栄調教師に「任せておけ」というほどに自信があった。そして、思い通りの競馬で愛馬を勝利に導いた。
マイルCS(ゼンノエルシド)に続く2週連続、通算では4回目のG1タイトルを手にした。日本の馬でジャパンCに勝ちたい、という夢は実現した。「国際レースに日本のダービー馬に乗って勝つことに意義があるんだ。非常にうれしい」。ペリエは大きく胸を張った。オペラオーの覇権は終わった。新時代を担うのは若いジャングルポケットだ。
菊花賞4着からのジャパンC参戦には、陣営の並々ならぬ思いがあった。馬主の斉藤四方司氏は「菊花賞は十分に力を出し切れずに終わった。上昇の余地があると判断したのと、来年のJCと天皇賞(秋)が中山になることで決断した」と話した。菊花賞の直前の追い切りはハードにやり過ぎ、レース前にテンションが上がり過ぎた。この反省から今回は余裕を持たせた。ダービーを勝った主戦の角田騎手からペリエ騎手に乗り替わり、まさに背水の陣で臨んだ一戦だった。
斉藤氏は「ジャパンCが今年最後のレース。今後はきゅう舎で休養する。来春はワンステップで天皇賞(春)を目指す。得意の東京競馬場が改修工事で使えなくなるため、馬の状態を見極めながら夏から秋にかけて、海外挑戦を検討したい」と話し、来年の海外挑戦も明らかにした。【鈴木良一】
◆ジャングルポケット ▽父 トニービン▽母 ダンスチャーマー(ヌレイエフ)▽牡3▽馬主 斉藤四方司▽調教師 渡辺栄(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道・早来町)▽戦績 9戦5勝▽総収得賞金 5億9932万6000円▽主な勝ちクラ 00年札幌3歳S(G3)01年共同通信杯(G3)ダービー(G1)
<ジャパンCアラカルト>
◆日本馬初の4連勝 98年のエルコンドルパサー、99年のスペシャルウィーク、00年のテイエムオペラオーに続き、ジャングルポケットが勝って達成。92~94年に3連覇をしている。
◆日本勢9勝目 2位米国の4勝に5差をつけた。
◆日本勢10年連続連対 92年トウカイテイオーの優勝から続いている。
◆上位独占 1~5着まで日本勢が独占したのは21回の歴史で初めて。98年の1~3着独占が過去ベスト。
◆3歳馬の勝利 82年ハーフアイスト、87年ルグロリュー、98年エルコンドルパサーに次ぐ4頭目。
◆日本ダービー馬の勝利 シンボリルドルフ、トウカイテイオー、スペシャルウィークに次ぐ4頭目だが、その年度のダービー馬としては初の優勝。
◆トニービン産駒 トニービンは88年に参戦したが5着に敗れた。13年後に息子のジャングルポケットが雪辱を果たした。また、G1勝利は12勝目となり、そのうち10勝が東京でのもの。
(2001年11月26日付 日刊スポーツ紙面から)※表記は当時

