今週末は福永師を含め、東西で新規調教師7人が初陣を迎える(栗東・小椋厩舎は今週末の出走なし)。
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「人馬ともに苦労なく」。開業を迎えた千葉直人師(37)は赤、黒、黄色が使われたフクロウがあしらってある厩舎服を見ながら言う。師は「フクロウは『不苦労』という言葉で苦労をしないと聞きました。そしてこれから羽ばたいていけるように」と込めた意味を明かした。
もちろん色にもこだわりがある。これまでお世話になった厩舎の色をモチーフとしている。赤は騎手時代に所属した成島英春厩舎。黒は騎手を引退し12年に助手として所属した藤原辰雄厩舎。黄色は13年から調教師に転身するまで所属した鈴木伸尋厩舎。師は「これまで培った経験を生かせれば。スタッフも本当にいい人たちが集まってくれたので、千葉厩舎というカラーでやっていきたい」と今後を見据えた。厩舎のデビュー戦は土曜中山2Rのムーラングリース(牝3)となる。【舟元祐二】
■森一誠師 視線は世界へ
森一誠師は世界へと意識を向けている。04年にトレセン入りし、調教師免許を取得した23年までの19年間を堀宣行厩舎一筋で走り続けた。ゴールデンバローズ、サリオスなどを担当し、海外遠征も経験。森一師は「一筋でやってきた堀厩舎をベースに、いろんな厩舎から人が集まってくれました。将来国際レースに出走させて、日本を代表するような厩舎にしたいです」と目標を掲げている。日曜中山7Rのタイセイフェスタ(牡3)が初出走となる。
■矢嶋大樹師 人馬のびのび
慶応大学出身の矢嶋大樹師は紺とグレーの厩舎服に身を包み、「馬も人ものびのびとやっていける厩舎にしたい」と声を弾ませた。師匠の手塚厩舎を意識した紺色に、グレーは昨年夏の全国高校野球で優勝した慶応高校のユニホームから連想した。師は「数字では難しいかもしれませんが、手塚先生を超えられるように。G1の大舞台で活躍できる馬を輩出したい」と高みを目指す。
■河嶋宏樹師 経験を生かす
河嶋宏樹師は中竹厩舎での経験を生かす。「中竹厩舎で研修しながら、海外遠征やセリなどいろんなところを経験してきた。中竹厩舎で培ったものをベースに自分の色を出していきたい。馬も人も息長く活躍できる厩舎にしたい」と見据える。初出走となる日曜阪神9Rトーアライデンは「使って良くなっているし、昇級戦でも楽しみ」と初勝利の可能性も十分にありそうだ。
■藤野健太師 世界へ第1歩
藤野健太師は世界で活躍するトレーナーを目指す第1歩を刻む。「周りが助けてくれて、不安、緊張、気負いなく平常心で迎えられる。G1はもちろん、世界まで目を向けて頑張っていきたい」と目標を掲げた。初陣は日曜阪神に2頭。10Rレガーメペスカは「松永昌博先生が開業週に合わせて調整してくださった。うちに来てからも順調。ありがたいです」と感謝を胸に船出だ。
■高橋一哉師 3カ月で開業
昨年12月に調教師試験に合格した高橋一哉師は3カ月あまりでの厩舎開業を迎えた。「まだ落ち着かないですね。即開業でしたが、多くの方が協力してくださった。鈴木孝先生にもお世話になりました」と感謝もより大きい。初戦は日曜中京6Rムガ。「息遣いも問題ないし、動ける態勢。皆が楽しく仕事ができて、ファンの方にも楽しんでもらえる競走を提供できたら」と抱負を口にした。
■小椋研介師 風通しを良く
松下厩舎出身の小椋研介師は風通しのいい厩舎作りを目指す。「松下厩舎みたいに働きやすい、雰囲気のいい厩舎にしていきたい。前にいた境厩舎では自分の考えで働くのが楽しかった。スタッフが自分の考えでのびのび働けるようにしたい」とイメージする。初陣は来週以降となるが、目標と話す日本ダービーへ「1頭1頭、少しでもいい状態で使って上の着順を目指したい」と力を込めていた。