マイウェイを徹した。昇級初戦のシュトルーヴェ(せん5、堀)が重賞初挑戦で初制覇を果たした。大逃げにもリズムを崩さず後方から差し切り、勝ち時計は2分31秒4。鞍上の鮫島克駿騎手(27)は今年の重賞初勝利。去勢明け2連勝で天皇賞・春(G1、芝3200メートル、4月28日=京都)への優先出走権を手にした。

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20…いや、30馬身近くはあったか。向正面入り口、シュトルーヴェは逃げたマテンロウレオのはるか後ろの後方2番手にいた。間に合うのか…。ざわめく観衆をよそに、鞍上の鮫島駿騎手は「自分と馬の空間だけを意識して、馬を信じていました」。3角でぐっと差が縮まり、直線入り口で馬群に突っ込む。追い比べを制し、ゴール前で2着に半馬身差抜け出した。「勝負根性がありました。乗っていて楽しかったですし、力強さに感動しました」と勝利をかみしめた。

息が合った。コンビ結成が決まると、過去10戦の映像をすべてチェック。初コンタクトのパドックでスタッフに助言をあおぎ、返し馬でも初の右回りの感触を確かめた。「右回りは特に問題なかったです。これまでの試行錯誤が結果に表れて、いいタイミングで乗せてもらいました」とうなずいた。

去勢明けから2連勝でG1切符を獲得。春盾参戦なら伏兵扱いが想定されるが、全11戦で2000メートル以上を走った長距離適性の高さは侮れない。鞍上は「レースセンスがあって何も癖がないですし、最後にしっかりと切れるのもいいところだと思います」と長所を強調。大舞台でも周囲に惑わされなければ、おのずと結果がついてくる。【桑原幹久】

◆シュトルーヴェ▽父 キングカメハメハ▽母 アンチュラス(ディープインパクト)▽せん5▽馬主 村木克子▽調教師 堀宣行(美浦)▽生産者 追分ファーム(北海道安平町)▽戦績 11戦5勝▽総獲得賞金 1億3452万6000円▽馬名の由来 フィンランドなどにある、世界遺産となっている史跡の名より。

◆せん馬の日経賞勝利 72回目で史上初。また今年の中山競馬場における古馬G2はAJCCのチャックネイト、中山記念のマテンロウスカイに続いてせん馬が3連勝を果たした。