オーラに圧倒されました。

27日は午前4時にホテルを出発。調教開始の5時ごろはまだ風が冷たく、上着を着ていないと寒いくらいでした。しばらく日本勢の取材に取りかかり、落ち着いたのは午前7時ごろ。日差しが出て暑いな…と上着を脱いでいると「ヘイ!」「カモン!」と海外メディアがぞろぞろとラチ沿いに集まりました。なんだろう…と様子をうかがうと、えんじ色の帽子をかぶったライダーとサラブレッドたちががきれいな列を作っていました。馬のゼッケンを見ると「TOWER OF LONDON」「AUGUSTE RODIN」との文字。世界の名将、エイダン・オブライエン調教師の管理馬がダートコースに姿を見せました。

驚いたのは馬場に出てきた全7頭が一糸乱れず、団体行動を取ること。馬場入り口から人だかりのある外ラチ沿いを歩きましたが、スマホを持つ人々やシャッター音にも動じず、何食わぬ顔でキャンターへと向かいました。繊細なサラブレッドは小さな音にも敏感で、場合によっては取り乱してしまう馬も多いですが、堂々と、もはや人間の世界に溶け込むように、自らの仕事に専念していました。

日本とは管理頭数の違いがありますが、1厩舎で7頭出しの大所帯。ディープインパクト産駒のオーギュストロダンはしなやかな筋肉が目立ち、毛づやはぴかぴか。文句のない好馬体に思わずシャッターを何度も切りました。

海外メディアの声を聞いてもドバイシーマCはリバティアイランドの1強ムードさえ漂いますが、内から抜け出して勝ち切った昨年のBCターフをはじめ、世界で強さを見せるオーギュストロダンは最大のライバルに違いありません。名将の下で心身ともに鍛え上げられた牡馬と日本のトップを担う牝馬のぶつかり合いにわくわくが止まりません。【桑原幹久】