本気度はこれまで以上? 短期免許を取得したジョアン・モレイラ騎手(40)が4日、美浦トレセンで調教に騎乗した。堀厩舎の管理馬にまたがり、昨年12月3日以来となる日本の競馬へ体を慣らした。

免許期間は6月5日まで。モレイラ騎手は「クラシックシーズンの来日は初めて」と腕をぶす。一昨年までは香港をベースに騎乗し、昨年はブラジルを拠点にオーストラリアなどでも騎乗をしてきた。同騎手は「昨年の秋に2歳馬とのつながりもできたので、今年の前半につながるイメージがあります」と騎乗馬たちとの“再会”を楽しみにする。

ある意味、崖っぷちの来日ともいえる。JRAは短期免許の取得要件を大きく分けて3つ、定めている。

<1>国ごとに定められたリーディング上位(過去2シーズン)

<2>当該年または過去2年で指定外国競走(60競走)を2勝以上

<3>当該年または過去2年でJRA・G12勝以上

モレイラ騎手は21-22シーズンで香港リーディング2位。香港では同3位以内が取得要件となっている。昨年以降は前記3点を満たす成績を残しておらず、今のままでは短期免許の申請が可能なのは今年まで。来年以降も来日するためには、日本の大レースで活躍をすることが近道ともいえそうだ。「G1が7、8競走ある時期に日本に来られた」。スケジュールの調整がついたこともあるが、春のG1シーズンに日本へやってきたことに、取得要件<3>をクリアすることへの意欲も見え隠れする。

JRA重賞の9勝のうち8勝がテン乗りでのもの。“雷神”“マジックマン”などと称されるブラジリアンは優勝請負人として、絶大な信頼を集めてきた。通算勝率30・9%(518戦160勝)の数字もすごいが、大舞台でも勝負強さを発揮する。

桜花賞では阪神JF2着馬ステレンボッシュ(牝3、国枝)、皐月賞では弥生賞ディープインパクト記念勝ち馬コスモキュランダ(牡3、加藤士)の騎乗が予定されている。ステレンボッシュの手綱を託す国枝師は「そつなく乗ってくれるジョッキーだし、脚を余さず使ってくれると思う」と高く評価する。牝馬クラシック初戦に向けて、モレイラ騎手もVTR等で競馬ぶりを確認済み。鞍上は「勝てはしなかったけど、十分能力はある。3歳になって、成長を含めて楽しみがある」とコメントした。達人のレースぶりに注目だ。【松田直樹】