地方競馬のレジェンドジョッキー、“大井の帝王”、的場文男(まとば・ふみお)騎手(68)が3月31日付で現役を引退することが決まった。昨年12月13日の期限までに騎手免許更新を申し込まなかったため。2月14日、TCK特別区競馬組合が発表した。
同17日にマスコミを対象とした引退会見を行うことが決まり、このタイミングでの発表となった。なお、けがの影響もあり、大井競馬場での引退セレモニーなどの実施予定はないという。
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騎手生活50周年を迎えた一昨年10月、浦和競馬場での囲み取材で、的場騎手はデビュー当初を懐かしんでいた。「初騎乗で騎乗停止食らったんですよね。それから始まった。これ駄目かなと思いましたよ、いきなり騎乗停止食らってるようでは」という騎手人生のスタート。「それから2、3年は乗れなかったなあ」。日本一勝った騎手も最初はうまくいかなかった。苦い経験は数え切れない。「ここ(浦和競馬場)で馬に蹴られてね。内臓が破裂して、脾臓(ひぞう)と腎臓が真っ二つになった。よく助かったよ。手術して気が付いた時、命だけは助かったと」。地元大井では、馬の脚が顔面に入ったこともあった。「歯が全部なくなって、あごは複雑骨折。砂に落ちてる自分の歯を拾いながら、悔しくて涙が出たよ」と振り返っていた。うれしかった出来事はもちろん、つらかったこともざっくばらんに話し、「まあ人生いろいろありますよね。人生いろいろ島倉千代子ですよ」と冗談で締めくくる楽しいおじさん。また、的場節を聞きたいと思っている。【地方競馬担当・渡辺嘉朗】

