武豊騎手(56)が出演し、6月28日に放送された番組「勝負師のことば」がテレビ西日本の公式ユーチューブチャンネルで4日、公開された。プロ野球で22年間の現役生活を終えた元ソフトバンクの和田毅氏(44)との対談。「野球が好き」という武豊騎手に対し、最初は緊張した面持ちの和田氏だったが、お互いに競馬と野球について存分に語り合った。
ペイペイドームで行われた対談は、競馬界の調整ルームのシステム説明や若手との関係性、会心の投球の振り返り、曜日の使い方、体調管理、トレーニング、道具(スパイク、あぶみ)のこだわりなど内容が多岐にわたり、武豊騎手がマウンドに上がって、投球を行う映像も見られる。
武豊騎手は和田氏の質問に「(56歳でアスリートでいることについて)中年の星じゃないけど、おじさんたちが明日頑張ろうって思ってもらえたらいいな、って思います」「(全盛期は)今思えば30代だったんじゃないかな」「(ランニングは)見られるのは恥ずかしいので、あまり人がいない時間に」と終始笑顔で答えた。
動画の後半では、ペイペイドームからバーに場所を変え、お酒をたしなみながらのトーク。「武さんにとって引退のイメージは?」という和田氏の質問に対し、武豊騎手は「10年くらい前から聞かれるし、自分で考え出したけど、わからない。逆に聞きたい。(和田氏の現役生活は)長かったじゃないですか? (引退後に野球の)夢を見ないですか?」と逆質問。「(引退については)僕は疑問形なんです。まだ芽生えてこない」「野球選手が長年活躍した方が引退して会見とか見ると、どうやって決めたのかな、と。どうやって自分で区切りをつけるんだろうって」と正直な気持ちを打ち明けた。
馬の性格の話ではディープインパクトやキズナの名前が登場。「(キズナのダービーは)会心でしたね。しんどい時期だったので。結果で救われますよね。結果が出たら、一気に楽になって、急に元気になる」「2週間くらい1勝もできなかったら、結構へこむんですよね。でも、1回勝ったら大丈夫」と勝負の世界の厳しさをかみしめるように口にした。
和田氏から「過去に戻れるとしたら」と聞かれた武豊騎手は「もう1回、ディープインパクトで凱旋門賞。できないことですけど。勝てなかったけど、それがずっと(心の中に)あるんですよ。(敗因は)いろんなことがあるんですけど、受け入れられないというか、世界一の馬だったんですけど、凱旋門賞を勝てなかった。今の質問には即答です。ディープインパクトの凱旋門賞」と答えた。逆に、和田氏は「現役時代の王(貞治)会長と対戦してみたい」と、夢の対決を語り、武豊騎手を喜ばせた。
もう1度、凱旋門賞にディープインパクトで挑むという仮定のトークで武豊騎手は声をはずませた。「(自分の年齢は)今でも、いつでもいいです。普通に考えたら、ディープインパクトに乗ってた頃でいいんですけど。面白いですね。夢があって。サイレンススズカでアメリカ行きたかったなあとか、クロフネでドバイ行きたかったなあとか、そんなのばっかりです。メジロマックイーンで凱旋門賞行きたかったなあとか。たらればばかりです。(またそういう名馬と出会う?)そうです。だからやめられないんです。また、出会うんじゃないかな。また、コンビ組んでやれるんじゃないかな」。
和田氏が「じゃあ、まだ引退できないですね。もし、ディープインパクトみたいな馬が現れて、凱旋門賞を勝ったら」と聞くと、武豊騎手は「そこがそう(引退のタイミング)かもしれないです。そうかもしれない」と一度はうなずいたが、「でも、勝ったらもう1回(勝つ)ってなるんです」と苦笑い。和田氏が「今日は武さんがもう引退することがないってわかって安心しました」と生涯現役に期待を寄せ、夏の小倉競馬のPRとともに対談は終了している。

