言葉なく涙を流し-。28日中山ではグランプリ有馬記念(G1、芝2500メートル)が行われる。天皇賞・秋6着メイショウタバル(牡4、石橋)に騎乗する武豊騎手(56)が宝塚記念優勝後に有馬記念参戦が決まった秘話を明かす。

6月15日の宝塚記念でメイショウタバルは7番人気から逃げ切り勝ちを収め、G1初勝利を挙げた。縁故の深い松本好雄オーナー、幼なじみの石橋守調教師との勝利に、武豊騎手は「涙が出るほどうれしい」と喜びを表していた。

今年の宝塚記念は北海道開催と重なっており、武豊騎手はレース後に函館に戻った。「(レース翌週の)木曜日に(北海道浦河町の)三嶋牧場に行こうと思って健ちゃん(三嶋牧場・三嶋健一郎取締役)に電話すると『メイショウさんも来る』と」。浦河で松本好雄オーナー、武豊騎手、三嶋取締役が顔を合わせた。阪神での口取り式以来の対面。「3人で三嶋牧場で、言葉もなく涙、涙だった」。

その夜、三嶋牧場だけでなく、浦河にある牧場の人を集めて祝勝会が行われた。「今後はどうするかという話で、メイショウさんは『やっぱり有馬がいいね』と話していて、有馬を目標にすることが決まった」。松本好雄オーナーは8月に膵臓(すいぞう)がんのため天国へ旅立った。「有馬記念を勝ちたい」という遺言はメイショウタバルに託された。

本番が刻々と近づく。今年はホープフルSが27日に開催されるため、有馬記念が年内最後のG1となる。「最後だから盛り上がるやろな。メンバーもいいし」と武豊騎手は期待する。“継承”された夢をかなえるために。陣営一丸となって週末に向かう。【下村琴葉】