課題を乗り越えつかんだ連覇だ-。2番人気コスタノヴァ(牡6、木村)が直線で大外から差し切った。勝ち時計1分35秒4。連覇達成は史上3頭目。近走は出遅れ癖が目立っていたが陣営の切実な努力が実を結んだ。
2着には3番人気ウィルソンテソーロ(牡7、高木)、1番人気で史上初の牝馬制覇を狙ったダブルハートボンド(牝5、大久保)は3着と上位人気での決着となった。
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固唾(かたず)をのんで、5万を超える観衆の視線がゲート一点に集中する。2走続けて大きな出遅れを見せるコスタノヴァは、果たしてスタートを決められるのか-。今回、発馬機に取り残される彼の姿はなかった。この時点で勝負あり。「安心しました」とルメール騎手は中団後ろの位置へ。直線では残り300メートルまで、追い出しを待つ余裕があった。「彼は府中が好きね」。これまで7戦6勝2着1回の戦績を残す競馬場で、負けるわけがない。7勝目と、史上3頭目の連覇を手にした。
悩み、苦しんだ1年だった。出遅れ癖が響き、1年間勝利から遠ざかった。「ファンに申し訳ない1年だった」と木村師は責任を感じていた。「前走後に道具を着けようと決めていた」と、今回は初のブリンカー着用を決断。スタッフと協議を重ね、責任は全て自分が背負うと説得し、万全を期した。
馬を尊重した決断も功を奏した。「ゲート再審査の所作を見て、練習はしなかった」と判断。不安と責任を感じる中、今日は五分の発馬を管理馬は見せた。プレッシャーから解放され「ゲートを出たことが全て」とかみしめるように振り返った。
受けたバトンを名手は無駄にしなかった。「今日はトップコンディション。先生も勝つ自信があった」と鞍上は勝利への意識を深めていた。最大のポイントはもちろんゲート。だから「今日はノープラン。どんなスタートを切るかで変わる」と全集中。さらには「自分の仕事をわかっている」と相棒の強みを理解し、思う存分力を発揮させた。「今がピークだと思うね」。挫折を経験し、完成期へ突入。府中の砂煙に舞う天才が、人の思いを乗せて最高の結果で応えた。【深田雄智】
※フェブラリーS連覇(97年のG1昇格以降) 14、15年コパノリッキー、21、22年カフェファラオに続き3頭目。
◆コスタノヴァ ▽父 ロードカナロア▽母 カラフルブラッサム(ハーツクライ)▽牡6▽馬主 吉田勝己▽調教師 木村哲也(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 14戦8勝(うち地方3戦0勝)▽総獲得賞金 4億2654万5000円(うち地方1600万円)▽主な勝ち鞍 25年根岸S(G3)フェブラリーS(G1)▽馬名の由来 ポルトガル北部のリゾート地

