タバルは人をよく見る子? 今回は「故郷からエール」特別編として、凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月4日=パリロンシャン)に挑むメイショウタバル(牡5、石橋)の幼少期に迫った。タバルが生まれた三嶋牧場の生産担当・松尾恵理香さん、育成担当・加藤太生さん、藤井健太トレーニングマネジャーに、幼少期のエピソードや母メイショウツバクロの話を聞いた。

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メイショウタバルの母メイショウツバクロは今年で16歳を迎えている。石橋師の騎手時代最後の勝利がこのツバクロだから、縁とは不思議なものだ。今はゴールドシップを受胎中。馬自身は何も問題なく元気だそうだ。「譲らない性格で、放牧中につかまえようにもつかまえられない時がある」と生産担当の松尾さんは話す。子育てにおいては、ベテランだからか、子どもにはさっぱりとした対応。「適度な距離感。冷たい感じではないし、世話はしているけど、甘やかしてはいない感じ」と伝える。

その“適度な距離感”が大事と話すのは、馴致などの育成を担当する加藤さん。「親が溺愛(できあい)しすぎるとダメなんだと思う。人を信用しなくなる。そういう意味では一番いいんだと思う」。実際、メイショウツバクロの子どもたちは、人間をよく見ているそうだ。「馬の目を見た時にすぐに目が合う。様子をうかがう子が多い。タバルも例外じゃなかった。隙をうかがっている感じ」。タバルは初めて人が乗った時も何もなく、おとなしかったそうだ。

藤井トレーニングマネジャーはある秘話を明かす。「(石橋)先生は覚えてないと思うんですけど、タバルの2、3戦目の時に『これでダービーに出る』って言ったんですよ」。後から石橋師に聞くと「あんまり覚えてない(笑い)」とのことだったが、それだけ期待していたのだろう。その馬が宝塚記念を連覇し、凱旋門賞へ挑戦。「タバルでは宝塚記念を、松本会長の馬では他のG1も勝ってるけど、それがどれだけ難しいことか。競馬は、表舞台には見えない人がたくさんいて、たくさんの人の思いがある。牧場側は託すことしかできない。G1を勝つ馬がいるから、スポットライトが当たる」。普段は表舞台に立たない生産者サイドとして力がこもる。

「三嶋牧場(生産馬)で行けるのもそうだし、メイショウで、石橋厩舎で、武豊騎手で。日高中が応援すると思う。タバルはいろんな人の思いが乗る馬だと思う」。皆の気持ちを背に乗せて、メイショウタバルはロンシャンの地に立つ。【下村琴葉】