セ・リーグの打撃全成績表を見てほしい。上位に巨人選手の名前はない。坂本は2割4分6厘、岡本と丸は、ともに2割6分5厘。にもかかわらず、チーム得点はリーグトップの280を挙げている。もちろん若手の頑張りや助っ人の存在はあるが、なぜ一見矛盾しているように映る数字になっているのか。
2回の坂本が象徴的だった。同点に追いついた直後の1死満塁。初球の外角スライダーを、バットの先ながら中前への勝ち越し打とした。「外しかない」と腹をくくっていたかのような、迷いのないスイング。状況を整理すると、この「内角を消す」判断が的確だった。序盤の同点での満塁。経験上、様子見に内角球を選ぶことはまずない。死球を与えたくなく内角に甘く入るのも避けたい。70~80%の確率で外角への変化球か直球で入るシチュエーション。坂本はここに絞り、見事な集中力で仕留めた。
そして大きかったのは、投手今村が同点打を放った直後の1本だったことだ。相手先発はここまでの2戦で苦戦したロドリゲス。その右腕から下位打線の連打で作った絶好機を生かした。相手のミスも絡んだが、この一打で3得点。岡本も適時打で続き、流れを完全に引き寄せた。
常に100%の集中力でペナントを戦い抜くのは難しい。ゲーム、そしてシーズンの「ここ」というポイントで、いかに100%以上の集中力を発揮できるか。勝負どころ=潮目で集中力のギアを上げ、結果につなげられる技術。軸を担う選手たちが備えているから、今の巨人は打率上位者がいなくとも、得点を重ねることができる。
他球団は、この“潮目力”に、察知力で対することが必要になる。2回の坂本の打席で言えば、結果論ではなく、初球インサイドで入ることも選択肢に入れないといけない。まだシーズン折り返し。巨人の上を行く一手で、まだまだペナントを盛り上げてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)




