都城のロッテキャンプ初日に顔を出すと、なじみの顔触れから何度も「お手柔らかにお願いします」と言われた。古巣であり、もちろん愛着はあるものの、評論・解説は私の仕事であって、プロ野球を応援する立場にはない。

現役時代の思い入れは意識から外し、現場に足を運び、見たものから、まっすぐに伝えたい。その上で感じるのは、サブロー監督が掲げた「昭和の野球」は、初日の動きを見る限りは選手に浸透しつつあるのでは、ということだった。

2月1日、例年感じていたことだが、どの球団も「さあ、アップで体を慣らして行こう」という悪い意味での横並びの印象が強かった。自主トレで各自準備してきたのに、いったんペースを落としている。その違和感が拭えなかった。

意識改革を訴えたロッテにも、同様の視点で目を向けたが、客観的に言ってゆっくりやろうとの雰囲気はなかった。午前中の内野ノックはメンバーを絞り、待ち時間を極力絞り、どんどんボールを受けていた。

投内連係、バント処理、サインプレーにおいて、ダッシュの場面はほぼ全力に近く、投手がゴロを捕球から反転して送球する際の踏ん張り方も、恐る恐るの感じはまったくなかった。連動して内野の動きも機敏。何より肩がよく仕上がっており、送球が強い。それだけでグラウンドに流れる空気は引き締まって感じた。

昨秋から、サブロー監督はこれまでのチームカラーにくさびを打ち込むように、強度を増して鍛える方針を打ち出してきた。その効果は、少なくともキャンプ初日に感じられたことは、半歩前進と言える。

肩を仕上げ、公式戦に匹敵する強度での送球の徹底というのは、キャンプの入りを甘めにすればあっさり1クール近く遅れることだってざらにある。勝率4割、借金28で最下位だったのだから、どこよりも早く準備するのは前提条件だ。その準備する過程において、これまでの意識を改める実行力が試される。

まず、個々の能力を上げること。そして開幕を目指すのではなく、もっと長期ビジョンに立ち、未来へ向けたスタートでなければ。

追い込んで、追い込んで、追い込んで、追い込んで、そしてとことん追い込んで。そこからしかロッテ再生の道はない。(日刊スポーツ評論家)