西武がド派手な逆転サヨナラ勝ちを飾った。8点差を追う8回に一挙7点を奪い押せ押せムードに乗ると、9回無死満塁から森友哉捕手(22)が前進守備の右中間を破る決勝二塁打で終止符を打った。8、9回の2イニングで8点差をひっくり返しての勝利はプロ野球史上初。奇跡を呼ぶ全員野球の猛攻で、獅子打線の力を見せつけた。 

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 日々の積み重ねが、「捕手」森のバットを支えている。今季のホームゲームでは毎日、山川とともに球場に一番乗り。ランニングからスタートし、黙々と汗を流す。「自分のペースでしっかり準備したいと思って。習慣になっていますね」。いまだに捕手で出場した試合は「疲労度が全然違う。でも、この中で結果を出していかないといけない」と明かす。

 バットにかかる期待を十分理解するからこそ、「それが自分の立場」と真正面から受け止めている。この日は殊勲打を放ったが、5投手をリードし計8失点。「まだまだ出来ることがあった。反省しないといけない」と表情を引き締めた。その中でも「打席では気持ちを切り替えられるようになってきた。1打席を大事に立てている」と手応えも口にした。不断の努力と覚悟が、打てる捕手への礎にある。【佐竹実】