<DeNA0-7阪神>◇26日◇横浜

阪神ドラフト1位ルーキーの近本光司外野手(24)が強烈な先制パンチを繰り出した。1回、プロ初の先頭打者アーチとなる5号ソロをチームの天敵、DeNA浜口に見舞った。

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近本はいい意味で数字にこだわらず、プロの世界でどっしり生きている。この試合の3安打で打率は半月ぶりに3割を回復。ただ、追うのは日々変動する成績ではなく、自分の成長だ。「その日その日が勝負の世界。(数字で)アピールするためにやっているわけではない。自分のレベルを上げていけるように挑戦していくだけです」。柔和な表情の裏で強い意志がある。

やると決めたらトコトン追求。今は筒井外野守備走塁コーチとのノックが日課で、落下地点へ1歩でも早く到達するため雨の甲子園でもサボらずやる。必要だと思えば動くストイックさは昔から。関学大時代、野手転向した際に始めた外野でのハードル跳び、キレを増すための猛ダッシュもほぼ無休でやり通した。

ある日はっきりとした口調で言った。「よく(打率)3割キープが目標だ、と言われるんですが…。キープは現状維持って意味じゃないですか? そこを意識してしまうと後退していくだけだと思うんです。どれだけ打率が高くても、得点につながらなければ、意味がないと思っています」。自らの考えを言葉にできるのも近本の強みだ。

開幕前、自分を律するために掲げたワードは「リスタート」。143試合あれば、良い日も悪い日もある。結果が出れば素直に喜び、ダメなら寝て忘れて…。真っさらな気持ちでゲームに向かっている。【阪神担当=真柴健】

阪神移籍後初勝利を完封で飾り笑顔で近本(左)とタッチを交わすガルシア(手前右)(撮影・横山健太)
阪神移籍後初勝利を完封で飾り笑顔で近本(左)とタッチを交わすガルシア(手前右)(撮影・横山健太)