eBASEBALL プロリーグ、SMBC e日本シリーズ・巨人-ロッテ第1戦。巨人が初戦を3-1で制した
eBASEBALL プロリーグ、SMBC e日本シリーズ・巨人-ロッテ第1戦。巨人が初戦を3-1で制した

eスポーツの急速な広がりを感じた。日本野球機構(NPB)がコナミなどと実況パワフルプロ野球を使用して共催する、eスポーツのeBASEBALLが2年目を迎え、25日のe日本シリーズで巨人が2勝0敗でロッテを下し、初優勝した。1チーム4人で優勝報酬は1400万円(1人350万円)。東京・銀座の会場は1500円の有料観覧席50席が満員となり、豊洲でのパブリックビューイングに200人が集まった。

おそらく、ほとんどの新聞読者が見たことはないだろう。実際に試合を見ると、こう感じるはずだ。「意外と面白い」。配球や作戦の駆け引きなどは本物さながら。初戦に敗れたロッテは第2戦、2点を追う8回無死一、二塁から3バントで二、三塁とし、さらに二走に代走岡を出した。井上の中前適時打で同点に追いついた場面に、解説した元ヤクルト監督の真中満氏は「緊張感があった。実戦さながらの采配だった」と感心。試合進行のスピード感は、本物以上だ。

人気はうなぎ上りだ。この試合は1万5000人がインターネットで同時視聴。昨シーズンは動画視聴が合計260万回だったが、今季は前週までに530万回。ユニークユーザー(視聴者数)は約120万人となりNPB関係者も「国民の100人に1人が見たことあることになるとは」と驚く伸びとなった。

子供と野球との接点として、実際の野球人口増加への効果も期待される。解説した元ヤクルトの岩村明憲氏は「ゲームを通じて子供のころ野球のルールを知った」。地上波のテレビ中継が激減しているが、街中ではボール投げ禁止の公園が増えている。第1戦の7~9回をプレーした、東大医学部卒で巨人球団職員の坂東秀憲(26)は「野球界がシュリンク(縮小)していると実感している。野球振興の大きな事業に育ってほしい。ゲームきっかけで野球に興味を持った人が増えていると実感している」と話した。

各業界からも参戦が続く。人気ゲーム「スプラトゥーン2」の世界王者でプロゲーマーである巨人吉田友樹(28=通称たいじ)以外にも、卓球のアテネ五輪代表の新井周氏を父に持ち、小6から中2まで団体戦日本一の経験を持つ新井宇輝(18)も今季から中日に参戦した。肘の故障で卓球はあきらめたが、メンタルの強さや反射神経は「生きていると思います」と新たな道を見つけた。大会MVPに選ばれた、昨年4月までネットワークエンジニアだった舘野弘樹(27)は「ほぼ専業状態なんです」と、MVPの報酬50万円など年間獲得額の約500万円を生活費に充てている。

YouTubeを運営するグーグルが25日に、9000万ドル(約99億円)でeスポーツリーグ(コールオブデューティ)のネット放送権を買ったという。既に米国では巨額が投資されているが、日本でも国体の文化プログラムに採用されるなど、広がりを見せるeスポーツ。食わず嫌いせず、1度ご賞味あれ。

e日本シリーズ・巨人-ロッテで初優勝を飾った巨人の選手たち。左から坂東、高川、吉田、舘野
e日本シリーズ・巨人-ロッテで初優勝を飾った巨人の選手たち。左から坂東、高川、吉田、舘野